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ネイマールは堕ちた英雄なのか。
現地識者が見たブラジルでの評判。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2019/06/14 07:00
メッシ、ロナウドを追い抜く“はず”の存在だったネイマール。しかしここ最近は負のイメージが強い。
国民、メディアの多くは批判的。
しかし、国内メディアと国民の多くは「全く面識のない女性をパリへ呼んだこと自体が不用意だった」と考えている。
昨年のワールドカップ(W杯)ロシア大会での不振、そしてこれまで彼がインスタグラムなどで豪奢な生活ぶりを誇示してきたことへのやっかみもあって、国民の多くはネイマールに対して批判的だ。
2009年にデビューしてからの10年間、国内メディアと国民のネイマールに対するイメージは激しく揺れ動いてきた。
17歳で名門サントスでトップチームに上がり、驚異的なテクニック、群を抜くスピード、豊かなプレーアイディアを発揮して見事なプレーを続けていた頃は、「ブラジルが世界に誇る宝石」ともてはやされた。
2013年5月に名門バルセロナへ移籍すると、日々、彼の一挙手一投足が報じられた。欧州ビッグクラブでの堂々たるプレーに国中が拍手を贈り、「彼こそが、セレソンを世界一に導く救世主」と信じて疑わなかった。
「27歳なのに甘やかされた……」
しかし、バルセロナでメッシの陰に隠れることを嫌い、金銭的なメリットも追って2017年8月に巨額の移籍金でバルセロナからパリSGへ移ったことに、多くの人々が首を傾げた。そして、昨年のW杯での不振、さらにはタックルを受けて大袈裟に転げ回った行為が糾弾された。
そして、今年4月のフランスカップの試合後、相手チームのファンを小突いた行為が問題となり、「もう27歳というのに、甘やかされた小さな男の子のまま」と人間的な未熟さを厳しく指摘された。
この行為についてはセレソンのチッチ監督も「彼は過ちを犯した」と語り、チームの主将をネイマールから右SBダニエウ・アウベス(パリSG)に交替させた。
表向きは主将の交替だが、実際には主将失格と判断されたのである。そして今回の婦女暴行容疑、故障によるコパ・アメリカ欠場と悪いことが次から次へと起こり、国民を落胆させている。