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植田直通、コパ・アメリカ闘争宣言。
「うまいだけじゃ、絶対に勝てない」
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byAtsushi Hashimoto
posted2019/06/12 17:00
東京五輪世代を中心としたメンバー構成で挑むコパ・アメリカ。植田直通はDF陣の中で最年長となる。
「もっと語学を上達させたい」
ピッチの中でも、よくしゃべっている。試合中は、よく怒鳴っている。最終ラインから、まだ不慣れな英語とフランス語を駆使して、叫ぶ。
「例えばリスクマネジメントのところ。うちのチームは攻めるときはセンターバック以外全員が前に行ってしまい、カウンターを食らって失点という場面がすごく多かった。だから、ボランチの1人は後ろに残るとか、ボールを失ったときのためのバランスだとかは、すごく言いました。
ただ、むこうの選手はなかなか言うことを聞きませんからね。言えば反発してくるし、ミスを人のせいにする選手も多い。終盤になってようやく改善されてきましたけど、そういう選手たちに、こういう理由があるから『こうしてくれ』『こうしたほうがいい』と、細かなところまで説明できるように、もっと語学を上達させたいですね」
鹿島では負けたら誰もしゃべらない。
今季のセルクル・ブルージュは、リーグ戦16チーム中13位で、なんとか1部に残留した。高校サッカーの名門・大津高校、Jリーグの常勝軍団・鹿島でプレーしてきた植田にとっては、新鮮な経験だった。
「押し込まれっぱなしの試合だったり、連敗が続く悔しい状況自体をあまり経験したことがなかったので、衝撃でした。この先、日本代表でもチームとして押し込まれる試合というのは、あるはず。そのときのためにも、良い経験だとポジティブに考えています」
プロになって初めて「負け」を積み重ねる中で、試合後のチームメイトに怒りを覚えたこともある。
「負けてもヘラヘラしている選手を見たときは、本当に腹が立ちました。鹿島では、1敗でもすれば誰もしゃべらない雰囲気でしたから。彼らの頭には、チームの勝ち負けではなく、自分自身のステップアップしかない。僕はそれではダメだと思うけど、世界にはいろんな考え方の選手がいるものなんだと、痛感しました」