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U-20W杯日韓戦で悔やまれるミス。
菅原由勢は、必ず壁を越えられる! 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

PROFILE

photograph byJFA/AFLO

posted2019/06/12 11:15

U-20W杯日韓戦で悔やまれるミス。菅原由勢は、必ず壁を越えられる!<Number Web> photograph by JFA/AFLO

U-20W杯で韓国に敗れ、うなだれる菅原由勢。悔しい思いを東京五輪、そしてA代表のピッチに立つための活力に変える。

菅原に見えていたカウンターの糸口。

「正直、簡単に切り替えようとは思っていないし、簡単に切り替えられるようなことでもないと思っています。本当に試合後のホテルでも、帰りの飛行機でも寝ようと思っても全然眠れなかった。しばらく考える時間が続くのかなと思っています」

 彼の口からこうした言葉が出るのはある程度予想はできた。だが、はっきり言ってほじくり返されたくないであろうあのシーンの詳細について聞くと、彼はしっかりと自分の言葉で真意を語ってくれた。

「(ボールを奪った後に)僕がパッと前を見たときに(中村)敬斗がいて、彼へのパスコースが空いていたので、そこに速いボールを通そうと思ったのですが、思ったよりもキックミスというか、弱くなってしまった。もしあそこだったら相手のサイドバックが前に来ていたので、もっと山なりのボールというか、置くようなボールでもよかったのかなと、もう考え始めたら止まらないです」

 あのシーン、彼はあの追い込まれた状況でFW中村へのパスコースがはっきりと見えていた。そこにパスを通せば、日本のカウンターの糸口になり、先制点をもたらす可能性が大きいことまで見えていた。だが、パスの種類の選択をミスしてしまったのだった。

“あのプレー”に後悔はない。

 彼はどこまでが狙い通りで、どこからがミスなのかはっきりと理解していた。彼の言葉を受けて、「パスミス直前まではイメージ通りだった?」と聞くと、「はい、そこまで完璧にイメージ通りでした」と即答した。

「VARによるゴールの取り消しもそうですし、ビッグチャンスが2、3回あった中で『取りきれないな』と思っていました。もちろん延長もあることは視野に入れていましたし、正直最後の方は韓国も時間がないと焦っていて、穴というか、スペースができ始めていたので、そこで(打開策を)色々見ていた時に……。

 なんというか、あのシーンはさっきも言ったように、『繋げる』と思って最後のプレーをしましたし、あそこで繋ごうとした意志は、僕はしっかりと周りが見えていて、チームの状況を考えて、蹴り出すより攻撃に繋げた方がいいと判断した上でしたので、あのプレーを選択したことに後悔はないです。

 ですが……あそこで(パス)ミスをしてしまうのは、まだまだ自分の技術や実力が足りないことを感じましたし、今でも本当に何回も頭の中をよぎりますし、忘れることは一生ないと思います」

 脳裏に強烈に刻まれた強烈な記憶。だが、そこから目を背けずに、苦しみながらも深く、冷静に見つめようとする彼の覚悟が伝わった。

【次ページ】 「この壁を超えてこそ一流」

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