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プレミア連覇マンCに2つの懸念。
コンパニ退団とペップの完璧主義。 

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粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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photograph byGetty Images

posted2019/06/08 17:00

プレミア連覇マンCに2つの懸念。コンパニ退団とペップの完璧主義。<Number Web> photograph by Getty Images

サネ(右)らシティ所属の面々の去就が騒がしくなっている。来季はCL王者リバプール相手に太刀打ちできるのか。

ペップの完璧主義も懸念材料。

 ゲームキャプテンを務めるダビド・シルバとフェルナンジーニョは「俺の背中を見ていろ」タイプであり、コンパニのような有言実行型ではない。

 31歳になったアグエロにはリーダーのイメージが湧かず、ジョン・ストーンズやアイメリック・ラポルテは修羅場の経験がまだまだ不足している。

 プレッシャーに苛まれたとき、チームを鼓舞してきたのがコンパニだった。いま、彼と同等の仕事をできる人材が見当たらない。移籍市場でも見つけられないだろう。

 もうひとつの懸念材料は、グアルディオラの完璧主義である。

 優勝セレモニーでも、スターリングにあれこれ注文を付けていた。細部にこだわり、自らの哲学を貫く姿勢は尊敬に値するが、SNS世代はいつまで我慢できるだろうか。細かすぎるよな、と考えている男がいたとしても不思議ではない。そんな選手がエージェントに愚痴をこぼし、エージェントがメディアにリークする。内部情報が洩れる典型的なパターンだ。

 しかもくどいようだが、新シーズンはコンパニがいない。監督と選手の間で緩衝材になっていたキャプテンの退団で、選手の不満が一気に露出する恐れは小さくない。チームを統制し、情報をコントロールする意味でも、コンパニの退団はあまりにも大きなマイナスだ。

ギュンドガンも退団の公算大。

 コンパニに続き、イルカイ・ギュンドガンも退団する公算が大きくなりつつある。

 2020年6月末日に満了となる現行の契約を、本稿執筆時点で更新していない。より多くの出場機会を求めるギュンドガンは、フェルナンジーニョのバックアップという立場に満足していない。

 ユリアン・バイグル(ボルシア・ドルトムント)、サウール(アトレティコ・マドリー)、デクラン・ライス(ウェストハム)など、シティの強化担当がアンカーをチェックしている事実も気に食わない。

 低すぎる優先順位に不快感を抱くギュンドガンが、退団を希望するのは当然だ。

 ただし、移籍交渉は水物だ。新戦力が即フィットする確率も決して高くない。ギュンドガンはプレッシャーをかけられても慌てず騒がず対応し、5バックを無力化する絶妙の浮き球などで貢献度も高かった。この功労者を軽く見ていると、シティは痛い目に遭う。

【次ページ】 波が大きく駄々っ子のようなサネ。

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