欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
プレミア連覇マンCに2つの懸念。
コンパニ退団とペップの完璧主義。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2019/06/08 17:00
サネ(右)らシティ所属の面々の去就が騒がしくなっている。来季はCL王者リバプール相手に太刀打ちできるのか。
波が大きく駄々っ子のようなサネ。
レロイ・サネの周囲も慌ただしくなってきた。
「バイエルン・ミュンヘンと個人合意」と報じるメディアも少なくない。基本的には取るに足らない情報だ。個人同意からまったく進まず、いつの間にか交渉が終わっている、要するにクラブ間の交渉に進展しないケースは多々ある。
ただ、個人合意と報じたメディアのなかに『タイムズ』(英国の高級紙)が含まれているから厄介だ。
大衆紙と違って飛ばしはない。確たる裏を取った後に報じるタイムズが個人合意としたのだから、サネとバイエルンがコンタクトを取ったことだけは間違いない。ドイツを代表するクラブからのアプローチに、サネの心は揺れている。
ツボにハマったときのパフォーマンスはワールドクラスだ。「いずれクリスティアーノ・ロナウドのレベルに到達する逸材」と、筆者は信じている。しかしグアルディオラは歯がゆいようで、「まだ才能の半分程度しか発揮していない」と手厳しい。
もちろん、期待しているからこその辛口だが、サネにはボスの真意が伝わっていない。途中で代えられたり、出場のチャンスさえ与えられなかったりしたときの表情は、駄々っ子のようにムスッとしていた。
シティで大化けする可能性はある。
しかしサネは、いま一度シティにおける立場を考えるべきだ。
今シーズンこそウイングとしてはスターリング、ベルナルド・シウバに次ぐ三番手に甘んじたが、D・シルバのスピード低下が否定できなくなったため、新シーズンは序列が変わる。
B・シウバが中盤のスタメンに入り、サネはウイングの二番手。試合出場のチャンスは増え、スターリングがグアルディオラの厳しい指導で覚醒したように、サネも大化けする可能性がある。
先発が約束されているバイエルンか、厳しいがさらなるレベルアップが期待できるシティか。バイエルンのニコ・コバチ監督は、グアルディオラの域には達していない。サネは残るべきだが……。