プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「マシソンは巨人魂を持っている」
不調リリーフ陣に今、必要な男。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/05/31 07:00
29日の阪神戦8回裏、マルテ(奥左)に同点2ランを浴びた巨人の沢村。本人も「完全な投げミス」と悔やんだ一球だった。
体重は10キロ減、1カ月半以上の治療。
「チームの役に立つ存在にならないといけないので、そこを目指していこうと思う。チームに貢献できないと、いる意味がない」
マシソンがこう語ったのは5月27日のイースタン・リーグ、楽天戦で4度目の実戦マウンドに登った試合後だった。
昨年8月に持病になっていた左膝のクリーニング手術を受けたが、11月に体調異変に襲われ、約40度の発熱が続いた。当初は原因が分からず悪性腫瘍の可能性もあると言われる中、12月の精密検査でようやく「エーリキア症」という感染症であることが分かった。
原因が判明し、リンパ節を除去する手術を受けたが、体重は10キロ落ち、治療に要した期間は1カ月半以上にのぼった。
1月中旬からトレーニングを再開したが、もちろんキャンプには間に合わず、来日したのは3月1日。そこから徐々に復活への階段を登ってきて、ようやく一軍マウンドへの道が開けてきたのである。
二軍では5月15日のDeNA戦で約10カ月ぶりの実戦復帰を果たした。その試合は1回で4安打を浴びて3失点したが、その後の3度の登板はいずれも1回を無失点で抑えて打たれた安打も1本だけ。真っ直ぐのスピードも150キロ超えをマークした。外国人枠も今は先発のテイラー・ヤングマンとC.C.メルセデス両投手にアレックス・ゲレーロ外野手の3人だけなので1枠空いている。
マシソン復帰への環境は全て整ったわけである。
ブルペンを落ち着かせること。
ただ、だ。
もちろん復帰したマシソンが直ぐさまセットアッパーとして大車輪の活躍をしてくれればそれに越したことはない。しかしいきなり全盛期の絶対的なセットアッパーとしての活躍を期待するのは、少しムシがいいのかもしれない。
それよりもまず期待したいのは、ブルペンを落ち着かせることだ。マシソンというリリーバーがブルペンに控えることで、巨人の投手陣に化学変化が起こることなのだ。