話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
調子乗り世代の顔、安田理大。
新天地・千葉でもギラギラする。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/05/29 18:00
9チーム目となる千葉に加入した安田理大。東京V戦では出場はなかったが、ベンチからチームを鼓舞した。
単年契約、緩さはいらない。
一方で生ぬるいプレーには我慢できない性格で、大の負けず嫌いだ。東京V戦は先制し、なおかつ多くの決定機を作りながら追加点を奪えずに最終的に追いつかれて終わった。2点目を奪えていれば勝てただけに試合後はもどかしい表情を浮かべていた。
「チームは、なんか、緩さがあるよね。強いチームと比べるとね。厳しさというか、そういうのが足りない。今日も前半に絶対に勝負を決めないといけない試合やったと思う」
昔と変わらず勝利を追求する目は厳しい。
当面は、試合出場がひとつのテーマになる。
途中入団でレギュラーポジションが固まっている中での挑戦ゆえ、まだ出番に恵まれていないが、練習試合では1人気を吐いている。現在、練習試合でのアシスト王で、しかも負けなしだという。そうして、チャンスを掴み、出場機会を1分でも1回でも増やしてアピールしていく。千葉とは単年の契約だが活躍すれば、さらに先がつながることになるのだ。
今年で32歳、「謙虚世代でええと思うよ」
「俺はまず目の前の試合に出て、そこに自分をぶつける感じ。そうして10点取ったらどうなるかわからへんからね。永嗣(川島)さんも最後の試合しか出てへんけど今回、代表に入った。サッカーってそういうのがあるからおもしろい。代表? 昔はガンガンにA代表を狙ってやっていたけどね。今は年齢も重ねて、まず自分と向き合うことが大事かなと思っている」
体中から発する強い気は変わらないが発する言葉は少し丸くなってきた。
昔は言動が尖っていて、監督やクラブ関係者にたしなめられることもあった。だが、「調子乗り世代」も気がつけば30歳を超えて、サッカー界ではベテランの域に入ってきた。
「もう年齢も年齢やし、調子乗り世代から調子乗らない世代に変わっていかんとね(笑)。謙虚世代になっていく感じでええと思うよ」
意識はそうあってもプレーでギラギラしたものを失うと安田ではない。それがJ1昇格を狙う千葉にとっては必要な要素のひとつであることは間違いない。
「なんとかJ1に上げたいね。その力になれればと思っている。まぁ結果を出すから見ててよ」
そういって不敵な笑みを浮かべた。
やる気も気合も十分、ピッチでプレーする姿が待ち遠しい。平成最後に契約した“成長した元気印”は、令和元年の秋、千葉の悲願を実現してくれるはずだ。