ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
日ハム玉井大翔の逆転人生に見る、
リリーバーたちの人間ドラマ。
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph byKyodo News
posted2019/05/27 18:00
観る者を感動させる逆転勝ちの裏には人生の逆転を狙うリリーバーたちの奮闘が隠れている。写真は昨年プロ3勝目を挙げた試合の玉井大翔。
劣勢でも投げ続けてきた玉井。
逆転人生の胎動を感じるモデルケースがある。
玉井大翔投手である。
5月26日現在、チーム最多20試合登板で防御率2点台を誇る。2016年ドラフト8位。社会人野球・日本製鉄(旧・新日鉄住金)かずさマジックから、即戦力として入団した。
昨シーズンまでの2年間、一軍とファームを往復しながら、足場を固めた。吉田侑投手のように、どんな劣勢でも気持ちを切らすことなく1球、1球を丹念に積み上げてきた。
今シーズンはリード、ビハインドで局面は問わないが、勝機を見出したベンチワークの一手としての出番が増えている。
玉井投手は、大量ビハインドの展開を任されていた経験を踏まえて回想した。
「チャンスをつかまないと」
「相手打線に勢いがある中でいかないといけないのは、やはり厳しい場面。それでも開き直って、試合を作り直さないといけない。僕らみたいにドラフト下位の若手は、そこからチャンスをつかまないと、と思ってました」
当時は、自軍のムードをさらに停滞させ、さらに大量失点につながる可能性をはらむ四球には細心の注意を払った。「ファームよりも一軍で、登板機会がある方がいい」と、どん欲に出番を待っていたという。
現状ではあるが、玉井投手は着実に前進しているのである。
まだ道半ばではあるが、下克上のスタートラインに立ちつつある。試合展開が優勢の場面、劣勢の場面。近代野球では、どちらの局面でもすべてのリリーフ陣は勝敗の要所のキーマンで激務である。