沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
ヴィクトリアMを勝ったレーン騎手。
週末で7勝、迸る知性、鮮烈な技術。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2019/05/13 11:20
またしても日本競馬界に巨大な存在感を放つ騎手が現れた。ダミアン・レーンの名前、気にしておいて損はない。
ゴール前で見せたレーンの超技術。
「ラッキーライラックの後ろにいたおかげで、自分から前に行かなくても、スムーズに進路を確保できた。ペースが速かったのも、この馬には合っていました」
ノームコアは鋭く伸び、ラスト150mあたりで外からラッキーライラックら内の馬たちに並びかけた。そして、さらに外から迫ってきたプリモシーンの追い込みを首差で封じ、先頭でゴールを駆け抜けた。
ゴール直前で内にモタれかけ、外からプリモシーンに迫られたとき、レーンは鞭を左に素早く持ち替えた。そうして軌道修正しながら、伸びてきた相手に馬体を併せて騎乗馬の闘争心を駆り立て、最後の7完歩ほどを走らせた。
リーディング上位の騎手しか短期免許を取得できないので当たり前なのだが、恐ろしく上手い。
次の最終レースも勝って、この日3勝。前日、京王杯スプリングカップを含めて4勝しているので、週末で7勝の固め勝ちだ。来日3週目なのに、早くも13勝を挙げ、うち重賞が3勝。
西オーストラリア出身の25歳。15歳だった2009年にデビューしているので、今年11年目ということになる。母国でGIを15勝もしているが、今回が初来日だ。
日本の馬や血統に憧れて。
「日本に来ることができて感謝しています。来日前、ヒュー・ボウマン騎手ら先輩にアドバイスしてもらいました。厩舎での仕事もやりやすいし、(いい結果が出せるのは)馬のおかげです。ファンも素晴らしい」
舞い上がることなく、淡々と話す。
「この15年ほど、日本の馬が世界中で活躍するのを見てきました。日本の馬や、血統に憧れて、自分も乗りたい、日本の競馬に参加したいと思うようになりました。印象に残っているのは、2006年にメルボルンカップを勝ったデルタブルースです。
また、ブレイブスマッシュやトーセンスターダム(自身の手綱でGI2勝)など、最近、日本からオーストラリアに移籍して活躍している馬がいます。こういう馬がもっと日本にいるのではないかと興味を抱いて来日しました」