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トップ4陥落のマンUに望むのは、
不用品とプライドを捨てる勇気。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byUniphoto Press
posted2019/05/09 15:00
残留の可能性が高くなっているポグバ。赤い悪魔の真の復活へ、新シーズンこそ本領を発揮できるか。
移籍市場でも存在感は薄れがち。
「われわれはチャンピオンズリーグのレベルに達していない」
スールシャール監督が自嘲気味に語ったように、ユナイテッドのクオリティ不足は明らかだ。新体制発足後、パリ・サンジェルマンとのチャンピオンズリーグ・ラウンド16第2戦までは13勝2分1敗。プレミアリーグ30節のアーセナル戦以降は2勝2分7敗。十分なクオリティを備えていなかったため、主力のケガと不振が急降下を招いた。リバプールとシティには、背筋が凍るほどの大差をつけられる有り様だ。
前線と中盤に数多くの優れたタレントを擁し、GKにもエデルソンを擁するシティに比べるとかなり見劣りする。サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノ、モハメド・サラー、ビルヒル・ファンダイク、アリソンなど、リバプールの陣容もうらやましい。彼らと比肩できるのはポグバだけであり、彼もマネやフィルミーノのような堅実性には欠ける。
トップランクの選手が少なく、チャンピオンズリーグの出場権も持たないのだから、移籍市場における存在感は薄い。
この夏は覚悟が必要だ。センターバックのカリドゥ・クリバリー(ナポリ)、ミラン・シュクリニアル(インテル)、中盤センターではアトレティコ・マドリーのサウール・ニゲス、パリSGのアドリアン・ラビオなど、ユナイテッドとリンクされている選手たちを獲得できる確率は低い。
イングランド内に絞る補強が吉?
彼らがクオリティ不足を解決する最善の人材だとしても、ユナイテッドはトップ4を逸すエラーを犯した。自分で蒔いた種は自分で刈るしかない。チャンピオンズリーグの出場権を持つクラブと市場で競合しても時間の無駄だ。
人選としては次点でも、現有勢力を上まわる人材はプレシーズン・マッチが始まる前に確保しなければならない。リーグ戦で6位に終わり、FAカップでワトフォードが優勝すると、来シーズンのスタートは7月下旬のヨーロッパリーグ予備戦2回戦だ。あっという間にタイムリミットがやって来る。
補強リストの幅をヨーロッパに広げずイングランド国内に絞るなど、高望みしない方が競合は避けられる。高級紙『タイムズ』が「感触良好」と報じたリシャルリソン(エバートン)は、ユナイテッドの前線にない野性味が持ち味だ。レスターのウィルフレッド・ディディはリーグ屈指のボールハンターで、その高い守備能力はポグバの負担を軽減するに違いない。