Jをめぐる冒険BACK NUMBER
オシムが先取りしていたクロップ流。
当時最強の磐田を翻弄した策とは。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byGetty Images
posted2019/05/09 10:30
オシム監督がジェフで巻き起こした一大センセーション。その象徴的存在が阿部勇樹だった。
オシムが教え子を評した言葉。
7月26日に日本平スタジアムで行なわれた14節の清水エスパルス戦。「ピッチに立った瞬間、息苦しくて、視界がぼやける感覚があった」と阿部は振り返った。タイトルの懸かった試合で、磐田戦のように楽しむ気持ちは、消え失せていたのだ。
前半のうちに3点を叩き込まれた市原が完敗を喫すると、ガンバ大阪を下した横浜FMが首位に浮上し、そのままファーストステージのタイトルをかっさらっていく。
「ジェフはただのいいチームだ。優勝するには何かが不足している」
ファーストステージ終了後、オシム監督は教え子たちをそう評した。彼らが“ただのいいチーム”を脱し、恩師にタイトルをプレゼントするまでには、あと2年の月日を要するのだった。
■2003年Jリーグ ディビジョン1 1stステージ 第13節第2日■
2003年7月20日/19:04キックオフ
ヤマハスタジアム/入場者数16519人
磐田2-2市原
【得点者】磐田:グラウ(27分)、前田(76分)、市原:崔(50分)、サンドロ(75分)
【警告】磐田:河村(14分)、山西(42分)、市原:茶野(31分)、サンドロ(33分)、斎藤(54分)、ミリノビッチ(70分)
【出場メンバー】
<ジュビロ磐田>
GK 1 ヴァン・ズワム
DF 2 鈴木秀人
DF 5 田中誠
DF 14 山西尊裕
MF 11 西紀寛
(→80分 MF 13 川口信男)
MF 4 河村崇大
MF 6 服部年宏
MF 10 藤田俊哉
(→71分 MF 15 ジヴコヴィッチ)
MF 7 名波浩
FW 18 前田遼一
FW 8 グラウ
監督 柳下正明
<ジェフユナイテッド市原>
GK 17 櫛野亮
DF 32 斎藤大輔
DF 5 ミリノビッチ
DF 4 茶野隆行
MF 23 坂本將貴
MF 14 佐藤勇人
MF 6 阿部勇樹
MF 19 村井慎二
MF 22 羽生直剛
(→89分 MF 26 山岸智)
FW 13 サンドロ
FW 10 チェ・ヨンス
監督 オシム