ひとりFBI ~Football Bureau of Investigation~BACK NUMBER
磐田が誇る「N-BOX」を攻略した、
鹿島の逆プレスと伝統の勝負勘。
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/05/08 10:30
(左から)鈴木秀人、中田浩二、中山雅史、福西崇史、秋田豊……両クラブの豪華陣容ぶりが伝わる1枚。
辛酸をなめた磐田は翌年完全優勝。
「第1戦の相手キーパーの反応を見て、先に動くんじゃないかと。いつもは人壁の頭越しを狙うけれど、今回はキーパーが立っている場所を狙った」
蹴った瞬間、磐田の守護神ヴァンズワムが動いたのを見て、ゴールを確信したという。見事に相手の「癖」を看破していた。針の穴ほどの綻びを見つけて、それを勝利の突破口に変えてしまう。
神は細部に宿る――建築の世界でよく使われる言葉だが、それは鹿島の作法にもそっくり当てはまりそうだ。この年、一度も勝てていなかった磐田を最終決戦で鮮やかに仕留めてみせる。鹿島らしい幕切れだった。
たとえ転んでも、ただでは起きない。こつこつと積み上げてきた伝統の重み、大事なものを決して手放さぬ保守の強みが最強磐田の革新を打ち破った名勝負。それは辛酸をなめた磐田が翌年のJリーグで史上初の完全優勝(2ステージ制覇)を果たす布石となった。
負傷を抱え、このチャンピオンシップを欠場した名波の復活とともに。
■2001年Jリーグ チャンピオンシップ 第2戦■
2001年12月8日/19:34キックオフ
県立カシマサッカースタジアム/入場者数40115人
鹿島1-0磐田
(延長1-0)
【得点者】鹿島:小笠原(100分)
【警告】鹿島:熊谷(79分)、小笠原(85分)、磐田:西(99分)
【出場メンバー】
<鹿島アントラーズ>
GK 21 曽ヶ端準
DF 2 名良橋晃
DF 3 秋田豊
DF 4 ファビアーノ
DF 33 アウグスト
MF 18 熊谷浩二
MF 5 中田浩二
MF 8 小笠原満男
MF 10 ビスマルク
(→50分 MF 16 本山雅志)
FW 9 平瀬智行
(→86分 FW 11 長谷川祥之)
FW 13 柳沢敦
監督 トニーニョ・セレーゾ
<ジュビロ磐田>
GK 1 ヴァン・ズワム
DF 2 鈴木秀人
DF 5 田中誠
DF 3 大岩剛
MF 11 西紀寛
MF 23 福西崇史
MF 6 服部年宏
MF 20 金沢浄
MF 10 藤田俊哉
(→83分 FW 24 前田遼一)
FW 8 奥大介
FW 9 中山雅史
監督 鈴木政一
『令和に語り継ぐ、J平成名勝負(3)~1999年CS:清水vs.磐田~』もお読みください!