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巨人・菅野智之の状態が気になる。
3129球を投げた昨年のダメージは? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2019/04/28 11:30

巨人・菅野智之の状態が気になる。3129球を投げた昨年のダメージは?<Number Web> photograph by Kyodo News

4月25日のヤクルト戦では大量失点を喫した菅野智之。ここからの立て直しはなるか。

阪神戦の終盤に落ちた球速。

 菅野はシュートやスライダー、カットボール、フォークなども一級品だが、速球の威力が増したことで、様々な球種を効果的に使うことができるようになり、ほしいときに三振を奪うことができるようになった。

 これによって、他を寄せ付けない傑出したエースになったのだ。

 今年も開幕から3試合は最高球速が150kmを超えていたが、4月19日の阪神戦は148kmにとどまった。特に6回以降は球速が145kmに達しなくなり、7回には新人の木浪聖也に3ラン本塁打を打たれて降板した。勝ち星はついたが、突然“出力低下”したように見えた。

 菅野は下位打線と対戦するときには球速を落とすなど、意識して力を抜くことができるクレバーな投手だ。だから省エネ投法だと見なすこともできた。

 しかし次の登板でも出力が上がらず、相手打線につかまったのは気になる。今季初めての中5日での先発だったことも懸念材料ではあった。

大谷翔平にも同じパターンが。

 投手が試合中、速球の球速が急に落ちる時は良からぬことが起こっていることがある。

 記憶に新しいところでは、大谷翔平である。昨年9月3日、アストロズ戦に先発した大谷は、1回には160kmの速球を投げていたが、3回には149kmに低下、直後に降板した大谷は、10月1日にはトミー・ジョン手術を受けることになるのだ。大谷の場合、球速が突然落ちたのは、右ひじ靭帯が損傷し、力を腕から指先にしっかりと伝えることができなくなったからだ。

 菅野の状態について、筆者は知り得ないところだ。ただ、今年の菅野には開幕前から少し不安を抱いていた。昨年の球数が非常に多かったからだ。

<入団以来の菅野の投球回数と投球数の推移>
2013年/176回 2832球
2014年/158.2回 2454球
2015年/179回 2710球
2016年/183.1回 2863球
2017年/187.1回 2795球
2018年/202回 3129球
2019年/33回 558球

 菅野は昨年、投球回数が200回を超え、球数も3000球をオーバーした。どちらもキャリア初めてのことだ。昨年の巨人は、クローザーが決まらないなど救援陣が振るわなかった。このため菅野は、長いイニングを投げることが多かったのだ。

【次ページ】 2年連続沢村賞選出の一方で。

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