酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
巨人・菅野智之の状態が気になる。
3129球を投げた昨年のダメージは?
posted2019/04/28 11:30
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
ゴールデンウィーク前の投球内容、数字的に見て巨人・菅野智之の状態が少々気になる。
4月25日の神宮球場のヤクルト戦、菅野は3.1回、12被安打、自責点7で降板し、負け投手になった。3回には川端慎吾の安打を皮切りに、青木宣親、山田哲人、バレンティンに3連続本塁打を打たれた。
菅野が3打席連続本塁打を食らったのはキャリア初、それどころか1試合3被本塁打もこれまでなかった。
先発して4回未満で降板するのは2016年6月24日のDeNA戦以来だ。
それ以上に心配なことは、球速が最高で時速147kmだったことだ。
ここ近年パワーピッチャーに変貌。
菅野は2013年にプロ入りしてから一線級の投手として活躍してきたが、2016年以降、投球スタイルがはっきり変わっている。それは試合で記録した速球の最高速の推移を見れば一目瞭然だ。
<菅野のデビュー以来のK9(9イニング当たりの奪三振数)と、試合ごとの最速球の球速。150km以上を記録した試合数>
2013年/7.93(150km以上6試合 未満21試合)最速152km
2014年/6.92(150km以上11試合 未満12試合)最速153km
2015年/6.34(150km以上10試合 未満15試合)最速151km
2016年/9.28(150km以上25試合 未満1試合)最速156km
2017年/8.22(150km以上24試合 未満1試合)最速155km
2018年/8.91(150km以上28試合 未満0試合)最速154km
2019年/7.91(150km以上3試合 未満2試合)最速155km
菅野は当初は三振も奪うが、制球力がよく打たせて取ることもできるバランスの良い投手だった。最高速は150kmを超えることもあったが、140km台の試合も多かった。
しかし2016年以降、ほとんどの試合で150kmを超える速球を投げるようになり、多くの三振を奪って打者を圧倒する「パワーピッチャー」に変貌した。
それ以降、奪三振王も2回とっている。以後の菅野の球速はときには155kmを超えるようになった。