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巨人・菅野智之の状態が気になる。
3129球を投げた昨年のダメージは? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2019/04/28 11:30

巨人・菅野智之の状態が気になる。3129球を投げた昨年のダメージは?<Number Web> photograph by Kyodo News

4月25日のヤクルト戦では大量失点を喫した菅野智之。ここからの立て直しはなるか。

2年連続沢村賞選出の一方で。

 昨年の菅野は10完投8完封しているが、シーズン8完封は1978年の近鉄、鈴木啓示以来。平成では最多記録だ。その上に菅野は昨年のポストシーズンでヤクルト相手にノーヒットノーランまで演じている。

 チームを1人で背負う活躍によって、菅野は2年連続の沢村賞に選出されたが、この力投が今年の菅野にどんな影響を与えるのか、懸念していたのだ。

 NPBの現役投手でも、毎年のように3000球以上投げる投手がいる。ここ10年で言えば、2年以上連続してシーズン3000球を超えた投手は、ダルビッシュ有(2010~11年)、前田健太(2010~12年)、成瀬善久(2011~12年)、メッセンジャー(2012~2016年)、金子千尋(2013~14年)、則本昂大(2014~2016年)と6人いる。

3000球以上投げた翌年に急減の投手。

 しかし一方で、3000球以上を投げた翌年に投球数が大きく減っている投手もいる。

田中将大(楽)2011年/3132球→2012年/2434球
ネルソン(中)2011年/3023球→2012年/215球
攝津正(ソ)2012年/3060球→2013年/2698球
大野雄大(中)2015年/3250球→2016年/2130球
武田翔太(ソ)2016年/3183球→2017年/1300球
岸孝之(楽)2016年/3004球→2017年/2551球

 故障などで戦線離脱し、球数が急減したのだ。中でもネルソンと攝津は、トップフォームを取り戻しきれず球界を去っている。また大野と武田は現在も苦しんでいる印象がある。

 菅野は、毎年2800球前後の安定した球数を投げてきた。シーズン通じてのスタミナ配分はほぼ固定されていたのだ。それが昨年、一気に増えたのだ。疲労が蓄積し、投球フォームに何らかの異状をきたしたとしても不思議ではない。

 今、高校野球の「球数制限」が話題になっているが、投手は本当にデリケートなものだと思う。

 菅野智之は今や「球界の至宝」と言ってよい投手だ。チームの勝利も重要だが、早急に、原因を究明してほしい。

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