“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
川崎の守護神チョン・ソンリョン。
最大の魅力は「リカバリー能力」だ!
posted2019/04/23 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
突然だが、筆者は小3から中1までGKをやっていた。GKというポジションがサッカーの中で1番好きで、当時はずっとGKとしてやっていこうと思っていた。だが、残念ながら身長が低く、同い年のGKが180cmオーバーばかりで、「3年間ずっとサブに回るのは嫌だ」と中2でサイドバックに転身した。遊びのサッカーをするときは、今でもずっとGKをやっている。
そんなGK経験者から見ても、川崎フロンターレのチョン・ソンリョンは素晴らしい能力を持ったプレーヤーだといつも思う。191cm、91kgという大型ながら、俊敏性と天性のバネがあり、広範囲をカバーできる。
彼のプレーで1番魅力を感じるのは、「リカバリー能力」の高さである。Jリーグを見渡しても、シュートストップがうまいGKはたくさんいるが、1度シュートを止めた後の2次、3次攻撃に対するリカバリー能力に目を向けると、その精度はガクンと落ちる。
もちろん、FC東京の林彰洋やガンバ大阪の東口順昭もその能力に長けており、若手を挙げるとサンフレッチェ広島の大迫敬介もポテンシャルを秘めている。だが、その中でもチョン・ソンリョンの能力は少し抜けているイメージがある。
攻勢に出た相手を往なすビッグセーブ。
この「リカバリー能力」はただ俊敏性やパワー、バネがあれば成せるものではない。自らの身体を意図的にコントロールできる能力、空間を把握する力、そして洞察力、察知力と、さまざまな能力が求められる。
J1第8節、湘南ベルマーレとの一戦。彼はその力をピッチ上で何度も見せつけ、ビッグセーブを連発した。2-0の今季リーグ戦ホーム初勝利に大きく貢献をした。
試合後にそのプレーの1つ1つの詳細を問うと、彼は真摯に、かつスラスラと言葉で表現してくれた。このやり取りに彼が備えた能力と実践力を垣間見ることができた。