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「黄金世代」と呼ばれて20年。
日本サッカーに名を刻んだ若者たち。 

text by

細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

PROFILE

photograph byAFLO

posted2019/05/02 11:00

「黄金世代」と呼ばれて20年。日本サッカーに名を刻んだ若者たち。<Number Web> photograph by AFLO

トルシエ監督、サミアコーチらの下、ナイジェリアで偉業を成し遂げた。

決勝に導いたFW永井のゴール。

 高原と2トップを組んだ永井は、このチームの中心である'79年組より1学年上の“'78年組”だった。しかし早生まれであることからU-20W杯の出場資格を満たし、遅れてこのチームに合流した。

「正直なところ“浮いている”という感覚もありました。みんなと一緒にプレーする時間が圧倒的に少なかったから、あのチームの感覚を完全に理解することは最後までできなかった。『自分がもっと噛み合えば』という悔しさは最後までありました」

 あの頃の永井は、選手としての自分自身を見定められずにいた。

「タカ(高原)は『なんでそんなに点を取れるの?』という感じ。ストライカーとして完成されていました。僕は欲張ったんです。むしろ全部を求めた。だから、タカみたいに何かを突出させられなかった」

 逆に考えれば、だからこそ高原の決定力を活かすプレーを選択し続けることができた。もっとも、準決勝のウルグアイ戦で値千金の決勝ゴールを決めたのは他ならぬ永井だ。鮮やかなキックフェイントで相手を翻弄するゴールに、局面打開力では本山に劣らない実力者だった永井の意地を見た。

イケメン中田は丸坊主に。

 アジア最終予選では全く出番がなかった中田浩二は、迎えた本大会、金古聖司の故障離脱によって3バックの一角を任された。

「僕も酒井と同じ。あれだけのタレントがいるボランチで勝負するなんて考えてなかったし、ポジションなんてどこでもいいと思っていました。ただ、結果的には転機になりましたね。その後のキャリアの大半を、あのポジションで過ごすわけだから」

 酒井や永井と同様、もちろん中田も世代トップレベルのタレントとして異彩を放ってきた。それでいて「ポジションなんてどうでもいい」と言えるメンタリティはどこから来るのか。

「あのチームに入ると、尖ってなんていられないんですよ。理由は、目の前に伸二がいるから。圧倒的にうまい伸二を前にして自分のことを『うまい』なんて思えないし、誰よりも謙虚な伸二を見たら『俺も頑張らなきゃ』と素直に思える」

 小野を中心とするグループの一体感は特別だった。イケメンキャラの中田が“ノリ”で丸刈りにしたのは、あの時が初めてのことだ。シャビを擁するスペインには力の差を見せつけられた。しかしあれだけのタレントが揃い、あれだけ一体感のあるチームが世界のファイナルに勝ち進んだことは決して偶然ではなかった。

【次ページ】 さまざまな道を歩む'79年組。

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