なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
W杯開幕を目前に控えたなでしこ。
長谷川唯、岩清水梓たちの勝算。
posted2019/05/05 08:00
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph by
Getty Images
夜のグラウンドを煌々と照らしていたライトが消えた。時刻は午後8時半を回っている。
東京都稲城市、日本の女子サッカー界を牽引する日テレ・ベレーザの練習場。この日は午後5時半からミーティングを行い、6時にトレーニングをスタートした。全体練習は7時20分に終了したが、大半の選手が居残って個人練習に励む。
その様相は各々が好きなようにしているだけで、ハードなトレーニングを自らに課すといったものではない。最後までグラウンドに残り、選手と楽しげに話していたのは就任2年目の永田雅人監督だった。
以前、永田監督からは「僕らがここのジュニアユースやユースにいた頃は、練習が終わったあとも監督やコーチの部屋に押しかけて、ずっとサッカーの話をしていた」と聞いたことがある。
昭和の時代、東京ヴェルディの前身である読売クラブ原初の風景。平成、令和と元号が移り変わっても、永田監督からすればかつての自分と向き合っているようなもので、ごく当たり前の日常に過ぎないのだろう。
欧州遠征に9人参加したベレーザ勢。
今季、前人未到の5連覇に挑むベレーザは、6月、FIFA女子W杯フランス2019に出場するなでしこジャパンで最大勢力になると目されている。4月、W杯に臨む代表メンバー発表前、最後のテストマッチである欧州遠征には大挙9名を送り込んだ(MF籾木結花も選出されていたが、故障により不参加)。
欧州遠征の結果は、フランスに1-3と敗戦、ドイツとは2-2のドローだった。
フランス戦で先発したGK山下杏也加は言う。
「フランスの攻撃のパワーはアメリカより上だと感じました。現状、クロスからの失点が多く、それを課題と捉える一方、やり方次第で防げた場面もある。W杯では、自分たちがいかにボールを保持して、守備の時間を減らせるかがひとつのキーポイントになると思います」