「いい意味で、ずっと競争」

　これから先の20年――。

　インドネシアの3年間を武器に、いよいよ小野伸二に勝てるかも――そうふっかけると、酒井はニヤリと破顔した。

「いやあ、伸二にはどうあがいても勝てないと思いますけどね」

　小野と同様、今もなおピッチに立ち続ける永井は“世代”に響くたとえ話で白旗を上げる。

「子供の頃からファミコンやってるヤツに、高校生から始めたヤツが勝てないでしょ？　伸二は前者で、俺は後者ですから」

　中田は食い下がった。鹿島で積み重ねてきたフロントスタッフとしての経験を武器に、貫禄勝負に持ち込みたい。

「勝つ気？　そりゃあ、ありますよ。こっちの道ではさすがに勝ちたい。でもまあ、ゆくゆくは僕らが中心になってサッカー界を支えなきゃいけないことは間違いないですから。いい意味で、ずっと競争ですよね。それぞれの経験を生かして、日本のサッカーをよくしたい。関係は変わらないでしょうね。現場ですれ違って互いにニヤッとする感じは、たぶんずっと変わらないと思います」

Number971号（『［20年後の'79年組］黄金世代と呼ばれて。』より）