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田臥勇太が語るNBAとスラムダンク。
平成バスケブームの「かっこよさ」。
text by
村岡俊也Toshiya Muraoka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/04/25 10:00
流川と仙道という天才同士の1対1や、言葉によらない対話ができる関係性が好きだと田臥は言う。
「いろんなものが生まれたんです」
'95年にギネス記録の653万部に達した「週刊少年ジャンプ」の発行部数は、'95年『ドラゴンボール』、'96年『SLAM DUNK』の連載終了で、一気にその数を減らしていく。さらに'99年にジョーダンが2度目の引退をして、日本のバスケブームも終焉を迎える。
'90年代の終わりと共にバスケ人気も、あっという間に衰えていった。それでも田臥は「あの時代にいろんなものが生まれたんです」と当時の熱狂を強く肯定する。
取材を終えてタクシーで宇都宮駅へと向かう途中、1台前の白いワンボックスに田臥の所属する「栃木ブレックス」のステッカーが貼られていた。ジョーダンでもレイカーズでもなく、街のチームを讃えている。'90年代のブームが蒔いた種が、こうやって芽を出して、根を張っていく様を、田臥はいつもコート上から眺めてきたのだろう。
2018年は、田臥に続く、2人目の日本人NBA選手が生まれた年でもある。
(Number968・969号『NBAとスラムダンク。田臥勇太を育んだ憧れの世界』より)