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プレミア復帰は「飛ばし」なのか。
香川真司、気になる来季の去就動向。
posted2019/04/21 11:30
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
エージェントは年がら年中、携帯電話のスイッチをオンにしている。ボン・キュッ・ボンのモデルに言い寄られても、目の前に豪勢なディナーが並んでいても、着信音には敏感だ。一瞬の気の緩みでビッグビジネスを取り逃がし、「貴様、なにしてくれてんねん!」と顧客に怒られるくらいなら、絶世の美女も一流のシェフが腕を振るった料理も、ご遠慮申し上げなくてはならない。
移籍市場を担当するメディアも携帯電話と仲良しだ。シーズンオフになるとピッチ内のニュースはなくなり、映像媒体なら時間、活字メディアなら誌(紙)面の多くをピッチ外の話題で埋めなくてはならない。頼みの綱はエージェントからの連絡だ。
ここで双方の利害関係が合致する。飛び込んできた好条件のオファーをさらに色付けするべく、エージェントはメディアに交渉内容の一部を漏らす。メディアはさらに色付けする。移籍情報のスタートと終点が異なる典型だ。
脚色を超えてデマも多い移籍報道。
したがって多くの選手が口を閉ざし、メディアはやむをえず脚色する。いや、脚色ならまだましだ。近ごろはデマが乱れ飛び、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリー、パリ・サンジェルマンなどは、その名義を勝手に使われるケースが急増した。仮に彼らが「事実無根の記事によって名誉、イメージが著しく損なわれた」と訴えれば、勝訴すること間違いなしの低俗、かつでたらめな情報がクラブや監督を、そして選手を害している。
ちなみに「モハメド・サラーがリバプール退団を決意」と報じたスペインの『アス』は、R・マドリー以外の情報になると信ぴょう性が乏しく、「神戸の新監督はアンドレ・ビラスボアスか」とぶち上げた『デイリースター』も、“飛ばし”が大好きな英国のタブロイド紙である。