プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ユベントスへ旅立つ“ランボー”。
復活&EL制覇の劇的結末はあるか。
posted2019/04/21 08:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Uniphoto Press
ランボーの戦いぶりもこれで見納めかと思うと、観る者の胸には寂しさが募る。ただし、年内公開予定の映画『ランボー』シリーズ最終作で、シルベスター・スタローンが演じる主人公のことではない。今季限りで去るアーセナルで、“ランボー”の愛称で親しまれるアーロン・ラムジーの話だ。
28歳の攻撃的MFが、来季からのユベントス移籍を発表したのは今年2月上旬。以降、ラムジーはアーセナルの原動力と呼んで差し支えない活躍を見せてきた。高度に安定したパフォーマンスは、11年に及ぶアーセナル・キャリアでも最高レベル。今季からチームを率いるウナイ・エメリは口癖のように「集団」を強調するタイプだが、その新監督ですらここ最近はラムジー個人の出来を讃えている。
「驚異的」だったEL準々決勝第1戦。
指揮官から「驚異的」との評価を受けたのは4月11日、ナポリとのEL準々決勝第1戦(2-0)のこと。3-4-1-2の中盤中央で先発したラムジーは、守備的なルーカス・トレイラとのコンビで絶大な存在感を放ち、強敵相手の先勝に貢献したのだ。
前半15分の先制ゴールはラムジーの真骨頂。自陣内で相手のパスをブロックして駆け上がると、メスト・エジルからのパスを1タッチで戻してボックス内へ向かいスピードを上げ、エインズリー・メイトランド・ナイルズのラストパスに右足インサイドで合わせたシュートをゴール隅に決めている。
ラムジーの先制点に触発されたチームは、彼がベンチスタートだった4日前のエバートン戦(0-1)では感じられなかった覇気を漂わせながら、勝利を収めた。
本稿執筆時点では、そのエバートン戦がユベントス移籍発表後のリーグ戦における唯一の黒星である。ラムジーは、後半戦を迎えた段階では難しいと思われたトップ4争い参戦を可能にした立役者でもある。