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44歳伊東輝悦と41歳明神智和は
今、J3という戦場でボールを追う。
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph byAtsushi Kondo
posted2019/05/03 09:00
シドニー五輪や日韓W杯など、大きな舞台でも“らしさ”を見せていた明神智和。今も愚直にボールを追い続けていた。
サッカーを始めて40年「おもしれえっすよ」
「俺ね、契約更新とか、あんまよくわかってねえんだよね。一応代理人に、プレーする方向で、と伝えてるだけで。やるんだったらアスルだし。そわそわとか、しないっすよ。決まらなかったら決まらなかったで、やめりゃあいいし。サッカーやめる覚悟ができているもなにも、プレーできる環境をもらえなかったら、やめるしかないっしょ。俺もう44っすよ! 逆に44までやっていること自体、幸せだと思う。やめたら? 何にもない。やべーっすよ、俺。かっこいい? いや、かっこよくないっすよ。こういうのかっこいいとか言っちゃだめっすよ!(笑)
サッカーは6、7歳からやっているから、もう40年かな。相変わらずおもしれえっすよ。だから、やめないんです。
とにかく、試合がいいっすよね。で、ぶっちゃけ練習やりすぎるのは嫌いです。練習が好きで、自分を高めてという人が大半かもしれないですけど、俺はなるべく少なくてすまねえかなと思います。だからオフの時とかも、ゴルフなんかより山登り行くほうが好きですね。だってゴルフって上手くなるためにはたくさん練習しなきゃいけない。それがいやだから、ゴルフとか別にいいかな、って」
「そんなに先のこと考えてない」
「試合に全く出られなかった去年みたいなシーズンは、まあ苦痛っちゃ、苦痛だけど、シンプルに力のある奴がピッチに立つだけでしょ。自分に力がないのかなって思う部分はあるし、44歳の奴がめっちゃ試合に出ているのもクラブとしてどうかなとも思うしね。俺自身はプレーヤーとしてチームに安定感は与えられると思ってるけど。
若手に説教とか、あんましねえすよ。俺押し付けられるの嫌だから、人にも押し付けない。特にサッカーって、正解、不正解なんてないし、それぞれ好きなサッカーのスタイルってあるからね。使われるために、チームのスタイルに無理に合わそうってのも、あんまりないかな。ただ、その時にできるベストは尽くそうと思うけど。
ここまでやれた秘訣は、やっぱ体が丈夫だからというのは間違いない。44になっても、現役でいる誇らしさなんてのはないですね。そんなに先のこと考えていないし、まあ、サッカーやめなきゃなんない時が来たら、たぶん努力する。でもそれはその時になんないとね。勉強しなきゃいけないかなって思う時はあるけど、何をすればいいのかわかんないし、35歳くらいの時に勉強したとしても、5年、6年、7年経つと、世の中変わっちゃうでしょ。だったら、その勉強したの無駄になるかなって思ったりね。
まあ、見ててくださいよ。俺がこんな生き方でどうなっていくのか。ボロボロになってるかもしんねえっすよ」