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昭和の王貞治、平成のイチロー。
記録に挑み続けた2人の野球愛。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/04/16 17:30
ダイエーホークスの監督時代は敵チームで苦しめられ、WBCでは監督と選手として一緒に優勝の歓喜を味わった。
39年前の引退の理由が今に響く。
そうした甘さを微塵も見せず、誰も到達できない次元で戦い続けたイチローに対して王は称賛を惜しまなかった。
だが、3月の開幕戦ではそれだけ見惚れたイチローも変調をきたしていた。王の目に映った打席での姿には、これまであったはずの”ある部分”、イチローらしさとも言うべきものが失われて見えたという。
「イチローさえこういう風にならざるを得ないのがスポーツの厳しさだなと思う」
しかし、だからこそ引退の決断に納得もできたのだった。
今から39年前、世界のホームラン王も引退会見で身を引く理由をこう語っていたのだから。
「口はばったいようだが、王貞治のバッティングができなくなったためです」
王が見たイチローの変化とはなんだったのか。そして去りゆくイチローに贈る言葉とは?Number976号では、引退を表明したイチロー選手に多くの人から感謝と敬愛の言葉が寄せられています。松坂大輔、ダルビッシュ有、菊池雄星、大谷翔平、三浦知良――。