リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
ジダンが始めた大刷新の準備。
今季の無冠が決定的、ベイルは……?
posted2019/04/14 17:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Uniphoto Press
ジダンの監督復帰から1カ月が過ぎた。
しかし、レアル・マドリーの様子に変わりはなく、16位セルタ、20位ウエスカ、12位エイバルは下したものの快勝は1度もなし。今年に入ってぐいぐい順位を上げてきたバレンシアとの一戦では勢いの差がそのままプレーに表れ、完敗を喫している。
「言い訳をするわけではないが、現状から抜け出すのは易しいことではない」
エイバル戦後、サンティアゴ・ベルナベウの記者会見場でマイクの前に座ったジダンは選手を擁護するように語った。
「今シーズンの我々は無冠で終わる。だからといって戦うことをやめるわけではないけれど、手に入れられるものがない状態での試合は難しい」
CL敗戦で無冠が現実的に。
R・マドリーは2月27日のバルサ戦を落として、国王杯の決勝戦進出を逃した。その3日後にもバルサに敗れ、リーガの優勝争いから決定的に脱落した。さらにその3日後、今度はアヤックスに大敗し、4連覇がかかった得意のCLからも姿を消す羽目となった。
タイトル獲得を義務付けられ、ここ数年実際に獲り続けてきた選手たちにとっては、なるほど未知の状況である。どうやれば士気を高められるのか、わからないのだろう。
一方で、CL敗退後ペレス会長から再登板を請われたジダンは、こうなることを予期した上で首を縦に振ったのかもしれない。
次のコメントは監督再就任が発表されたときスペインの著名ジャーナリストがツイッターで発信したものだが、あらためて、稀にみるクラブ愛と侠気である。
「昨季までの功績によって確保した『伝説の監督』の座を危険にさらす決断。R・マドリーというクラブのための行為として、これほどのものは生まれてこの方見たことがない」