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豊川雄太、ベルギー2年目の7ゴール。
「結果を残せば未来が開けるんです」
text by
菊池康平Kohei Kikuchi
photograph byKohei Kikuchi
posted2019/03/30 17:00
オイペンで2シーズン目を迎えた豊川雄太。今季もチームの貴重な得点源となっている。
ワントップにも慣れ始めた。
オイペンは昨年に続き、残留争いの渦中にあった。今までに所属していた鹿島や岡山に比べてチャンス数は圧倒的に少ないのだ。だからこそ意識しなければならないことがある。
「チャンス数は少ないですし、相手が警戒してるかもしれませんが、隙は生まれるので常にそこを狙いながらやるようにしています」
昨年5月に会った際、豊川はすでにワントップで起用されていた。当時は試行錯誤しながらプレーだったが、徐々にこのポジションを自分のものにしつつあるという。
「今シーズンはほぼワントップの位置で試合に出ています。この前の試合で怪我をするまでは全試合に出ていて、最初の2~3節までは左のサイドハーフをやっていました。ワントップで出場した試合で点をとってから定着しています。
ワントップはやっていて楽しいし、そのポジションで勝負したい気持ちが強いんです。色んな駆け引きや面白い部分を見つけることが出来ていて、試合でうまくいかなかったことをトレーニングでやって少しづつタイミングなどを掴めてきているんです」
新たなポジションでの手応えを感じる日々。そんな豊川は決して大柄ではなく、身長は171cm。そんな彼が、日本人に比べて遥かに大きくて激しいディフェンダーを相手にどう渡り合っているのか。
「上手い・下手ではなく、ケタ違いに強い。強さ・速さ・大きさが全然違います。コンタクトプレーはしないといけないポジションですが、なるべくしないようにしています。相手に背を向けてボールを受ける時は1~2タッチではたいて、ゴール前に入る動きの繰り返しです」
ちょこちょこ動きまわることで、大柄なディフェンダーの裏を突くのだ。
ハングリーさを失わないように。
豊川の充実ぶりはプレー面だけにとどまらない。この1年でベルギーという環境に順応したのも大きい。彼のオープンな性格もコミュニケーションを円滑にしたようだ。
「1年やって慣れちゃったんですけど、それがいいのか悪いのかわからないんです。最初は慣れるまでに時間がかかったし、ハットトリックした時も慣れている段階ではなかったので。
ただ慣れると甘さじゃないですが、ベルギーに来た当初の『よし、やってやるぞ!』というハングリーな気持ちが薄れているような気がします。当時はベンチに入れるか入れないかの状況で、アピールしようと必死だったし、ミスしたら最初は怒鳴られてましたが、今はミスしてもチームメイトから何も言われなくなってきている。
その状況が俺はあまり好きじゃなくて。厳しい環境に身を置きたいというのが本音だし、そのためにはこのチームで結果を出さないといけないのが現状です」