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川上憲伸×高橋由伸
初対戦の「あの一球」を語る。

posted2019/03/29 16:30

 
川上憲伸×高橋由伸初対戦の「あの一球」を語る。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

1998年の黄金ルーキー・川上憲伸(左)と高橋由伸(右)。現在は、ともに野球解説者・評論家として活躍している。

text by

鈴木忠平

鈴木忠平Tadahira Suzuki

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

 大学野球の投打のスターとして中日と巨人に入団した川上憲伸と高橋由伸。そのライバル関係は、プロ1年目、熾烈なる新人王争いという形で引き継がれた。現在はユニホームを脱いだ2人が、21年前のルーキー時代の「初対決」とお互いに対する強烈な意識の交錯を明かす。

 1998年のセ・リーグ新人王争いは球史に残るものだった。

■川上憲伸(中日)……26試合 14勝6敗、防御率2.57
■高橋由伸(巨人)……126試合 打率.300、19本塁打、75打点
■小林幹英(広島)……54試合 9勝6敗、18セーブ、防御率2.87
■坪井智哉(阪神)……123試合 打率.327、2本塁打、21打点

 候補だった選手の顔ぶれと数字を見れば、その理由がわかるのだが、とりわけ高橋と川上、慶應の主砲、明治のエースとして六大学を沸かせた両雄が、巨人と中日というライバル球団にそれぞれ逆指名で入団し、ぶつかり合ったことがメディアやファンを惹きつけた。

 あれから21年。一生に一度のタイトル「新人王」を争った2人が今、当時を振り返った。

2人の口をついて出た「初対戦の、ある1球」。

高橋「今から思えば、最初の対戦のあの1球が、ずっと残ってしまっていたんです」
川上「当時を振り返ると、やはり最初の対戦がすべてだったんじゃないかなと思うんです」

 それぞれ別の場所でのインタビューだったが、不思議なことに、ともに口をついたのは、初対戦となった1打席の、ある1球についてだった。

 それが全てだったと――。

 そして、その打席への重要な伏線となったのがお互いへの意識、環境の違いだった。

【次ページ】 「新人王は獲らなくてはいけない」

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