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フィギュア女子、日本人は表彰台逃す。
4位・紀平梨花「目標はもっと高い所に」
posted2019/03/23 11:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
3月22日、世界フィギュアスケート選手権女子フリーが行なわれた。
日本から出場した3人の選手は、4位から6位に顔を並べた。その中で最上位の総合4位に入ったのは、紀平梨花だった。
ショートプログラムでは冒頭のトリプルアクセルが1回転半となり、規定により無得点。
7位から臨んだフリーでは、冒頭からトリプルアクセル-トリプルトウループの高難度のジャンプを成功させる。続くトリプルアクセルは転倒したものの、他のジャンプはきれいに決め、すべての要素でGOEの加点を得る。フリーでは優勝したアリーナ・ザギトワに次ぐ2位となる152.59点を得て、合計で223.49点となった。
本当の安定感は得られなかったが……。
演技が終わった瞬間、紀平は笑顔で何かをつぶやいた。
「まあ、よかったです」
試合を終えて、やはり笑顔で説明する。
「『まあ』は2本目(のトリプルアクセル)で、『よかった』は全体、という感じです」
失敗した2つ目は「踏み切りから少し微妙というか」と原因を語る。トリプルアクセルは、今大会に限らず感覚のギャップをどう捉えるか、腐心してきた。
「うまくはまったジャンプがパンク(1回転半)になったり、なんとなくいけたり」
そうしたずれもあって、ショート、フリーを通じてほんとうの安定感を得るところまでは至らなかった。
ただ、シーズンを通してみれば、シニア初年度にして世界選手権までの国際大会すべてで優勝するなど世界のトップをうかがうところまで成長し、今回の大舞台の切符もつかんだのも事実だ。貴重な経験を得たシーズンでもある。
その中ではトリプルアクセルにとどまらず、他のジャンプやスピンなどの質のよさも発揮し、総合的な力を示してきた。1年目らしく、ポジティブに、常に前を向きつつ挑む、そうした姿勢とともに進んできたことも紀平を印象付ける。