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SP3位羽生結弦「しっかりやりきる」
宇野昌磨は6位から巻き返しを誓う。
posted2019/03/22 11:15
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
5年ぶりの日本開催、場所は前回と同じ、さいたまスーパーアリーナ。
フィギュアスケートの世界選手権が開幕し、3月21日には男子のショートプログラムが行なわれた。
昨年11月のグランプリシリーズ・ロシア大会で優勝したものの負傷し、久々の実戦となる羽生結弦。2月の四大陸選手権で主要国際大会で初めて優勝した宇野昌磨。さらには昨シーズンの世界選手権王者であるネイサン・チェン。
そうそうたる顔ぶれがそろい、優勝の行方に関心が集まる中での試合、首位に立ったのはチェンだった。
もともとジャンプに定評のある選手だが、この日も持ち味を存分に発揮した。
際立ったチェンのジャンプ力。
冒頭のトリプルアクセルに続き、2つ目のジャンプとして予定していたのは当初は4回転フリップだった。だが、調子が上がらないことからショート当日朝の公式練習から4回転ルッツに変更。試合でも成功させた。
一般に、フリップよりもルッツの方が難度は高いとされている。つまり、調子を見て、より難しいジャンプに変えたのである。多彩な4回転ジャンプを持つチェンならではであり、そこにもチェンのジャンプ力がうかがえる。
3つのジャンプで高い加点を得て、さらにステップやスピン、演技構成点などでも評価を得る。技術点で他を圧倒する60点台に乗せ、得点は107.40、ミスのない素晴らしい演技で2位となったジェイソン・ブラウンに10点以上の差をつけた。
今シーズンは名門のイエール大学に入学し、学業に励みながらフィギュアスケートに取り組んできた。
「慣れるのに時間はかかりましたが両立できると分かってきました」
チェンは言う。両立する中で、得たものも大きい、と続ける。
「友人たちとフィギュアスケート以外の会話をする機会も増え、さまざまなことを学び、考え方も広がりました」
それが競技にも生きていると語る。