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「東京マラソンでサブスリー」への道。
レースこそ最高の練習だ! 

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柳橋閑

柳橋閑Kan Yanagibashi

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photograph byKan Yanagihashi

posted2019/03/22 08:00

「東京マラソンでサブスリー」への道。レースこそ最高の練習だ!<Number Web> photograph by Kan Yanagihashi

東京マラソンのコースを試走した時のワンカット。東京の名所を巡るコースは、写真映えも素晴らしい!?

シューズも試行錯誤を経て決定。

 この時期、練習と並行してシューズについても試行錯誤を続けていた。僕の場合、アシックスのラスト(靴型)が足にフィットすることもあり、これまでレーシングシューズはターサーとソーティを愛用してきた。アディダスのアディゼロやニューバランスを履くこともあるが、気がつくといつもターサーに戻っているという感じだ。

 今シーズンは、スピード練習をソーティマジック、ペース走をターサージール、ジョグをターサージャパンというふうに履き分けて練習を開始した。ところが、練習がハードになり、脚に疲労が溜まってくると、ソーティマジックやターサージールで走るのがしんどい日も出てきた。

 そこで、クッション系のシューズにも目を向けてみようと考え、いろいろ試し履きをする中でチョイスした一足が、ナイキのズーム フライ フライニットだった。フォアフット着地を指向した厚底シューズで、「どうしても合わない」というランナーの声も聞いていたが、幸い僕にはしっくりきた。

 しばらく使い込んでみると、ペース走をしたあとの脚筋の疲労が少ないように感じられた。そこから、疲労度に応じてターサーとズーム フライを履き分けるようになっていった。

 もうひとつ試し履きをしておもしろかったのが、アシックスのメタライドというブランニューモデルだ。NumberDo編集部を通じて試す機会があったのだが、ソールが踵から前足部にかけて反り上がるようにカーブしており、履いてみると足が前に倒れる独特の感覚がある。速く走るためのシューズではなく、走行効率を重視した設計で、楽に長く走るのがコンセプトだという。

 ウォーキングに使ってみたところ、靴に導かれるように足がくるん、くるんとローリングするように進み、非常に気持ちがいい。とくに今シーズンは骨盤の動きを意識して、ウォーキングでフォームを作ることを心がけてきたので、この感覚はおもしろかった。

 世界的なランニングブームのおかげで、ここ数年、各社がしのぎを削り、最新のハイテク素材を使った新しい設計思想のシューズを次々に発表している。練習方法だけでなく、道具に関しても視野を広げることは大切だなとあらためて感じた次第だ。

体と数字が一致して変化する感覚。

 1月は20~30kmのペース走と峠走を繰り返し、レースは1月19日に「パークらんマラソン in 昭和記念公園」のハーフ部門に出場した。小出義雄監督は常々「マラソンでは序盤は脚が重いほうがいい」と言っている。軽いと序盤に飛ばしてしまい、後半失速するからだ。それを踏まえて、レース前はあえて疲労抜きをせず、重い脚で1時間30分を切るというのを目標にした。

 最初の5kmは22分11秒(手元計測)。抑え気味に入ったのはいいがちょっと遅い。意識的にダイナミックなフォームに切り替えて、次のスプリットタイムは21分46秒に上げ、21分30秒、21分41秒とつなぎ、最後の1kmはスパート。タイムは1時間31分07秒だった。キロあたりの平均ペースは約4分21秒。安定してペースメイクできたのはいいが、VDOTによるハーフの指標は1時間26分12秒。タイムだけを見るとこれまた絶望的である。

 それでも、まだ気持ちは前向きだった。ハードな練習を積めているという実感があったし、ガーミンと心拍計を使って計るVO2max(運動中、呼吸によって体内に取り入れることができる酸素の最大容量)の推測値もだいぶ上がっていたからだ。

 練習に取りかかった11月のVO2maxは56ml/kg/分。それがスピード練習を繰り返す中でじわじわと上がり、12月には62、1月には瞬間風速的に63を記録。その後は59~61で推移することとなった。トップスピードが上がったわけではないのだが、一定のペースで走っているときの心拍数が以前より下がり、苦しさをあまり感じないで済むようになった。LT以下の心拍ゾーンで4分15~20秒のペースを出せるようになってきたのだ。

 体内感覚と数字が一致して変化していくのはおもしろかったし、中年になっても伸ばせる部分があるというのは新鮮な発見だった。問題は上がった能力をフルで活かせるかどうかだ。それをレースで確かめるというのが2月のテーマとなった。

【次ページ】 苦しむ準備ができていれば耐えられる。

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