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「東京マラソンでサブスリー」への道。
レースこそ最高の練習だ!
posted2019/03/22 08:00
text by
柳橋閑Kan Yanagibashi
photograph by
Kan Yanagihashi
3月3日、雨中の決戦となった東京マラソンの結果については、本日(3月22日)発売のNumberDoをご覧いただくとして、今回はそこに至る練習の中で経験した心身の変化と、トライアルとして走ったレースについて書きたいと思う。
前回、期分けをして練習計画を立てたという話をしたが、それぞれのフェーズに合わせて毎月レースに出場することにした。短期的な目標があったほうが練習に身が入るし、レース勘も失わずに済む。そして、何よりレースを全力で走ることは最高の練習になるからだ。
11月は5000mのスピードアップが課題だったので、「AGEO TRACK FESTIVAL」というトラックの記録会にエントリーした(11月25日、埼玉県上尾運動公園陸上競技場にて開催)。
これは東京マラソンの公式会員組織、ONE TOKYOが企画したもので、レースの前日には大島めぐみさんによる“5000m・10000mオリンピック日本代表に教わる「マラソンの基本となる5000mの走り方」”というクリニックも開かれた。
まさにいまの自分に必要なテーマだなと感じて参加してみたところ、スピード練習のノウハウと5000mの走り方、それをどうフルに結びつけていくのか、という面でたくさんの学びがあった。クリニックというと初心者のためのものと思われがちだが、走歴が長くなってきて、自己流が固まりつつあるときこそ、学び直しが必要だなと痛感した。
ペースメーカーの恩恵は大きい。
翌日は快晴のレース日和。陸上競技場に入ると、ピリッと気が引き締まり、ワクワクしてくる。フルと違って、補給や装備についてあれこれ心配することはない。トラックレースに必要なのはシューズとガッツのみ。きわめてシンプルな世界で爽快だ。
5000mの自己ベストは19分19秒だが、もう5年前の記録。いまはとてもそんなスピードでは走れない。現実的な線で20分切りを目標に設定した。
僕が参加した組は、コモディイイダ駅伝部の谷星輝選手がキロ4分のペースメーカーとして走ってくれたのだが、驚くほど正確に1周1分36秒のペースを刻んでくれた。中盤まではそのリズムに合わせることだけを心がける。
1人でタイムトライアルをやるときは4分05秒ペースがやっとなのだが、ペースメーカーのおかげで普段以上の力が出た。終盤まで何とか食らいついていき、ラスト1周はよだれを垂らしながらスパート。口から飛び出しそうになる心臓を飲み込むようにしてゴール。タイムは19分52秒だった。
走力の指標「VDOT」を使って、ぎりぎりサブスリーをするための5000mのタイムを計算すると18分47秒と出る。今回のタイムじゃ話にならないのだが、20分を切ったのは4年ぶりのことで、ひとまず手応えを掴むことができた。