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パルマ、4季ぶりのセリエAは上々。
年俸総額でロナウド1人に負けても。
posted2019/03/20 16:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
「昨年の夏、オファーは欧州のいろんな国からたくさんあったよ。正直、パルマの提示額が一番安かった」
それでもエース待遇を約束してくれたから、とFWジェルビーニョは悪戯っぽく笑う。現時点でチームの稼ぎ頭として9ゴールを挙げているのだから、彼とパルマの選択は正しかった。
パルマが4季ぶりのセリエAを生き生きと戦っている。
さすがにEL出場権争いとまではいかないが、シーズンの4分の3を消化して11位(勝点33)にいるのだから上出来だ。イタリア風に言うと、残留は“もはや金庫の中に納めたように手堅い”。
パルマ躍進の中心にいるジェルビーニョ。
3部時代から数えて3季目のダベルサ監督が指揮を執るチームは開幕から突っ走った。
13節サッスオーロ戦までに敵地サン・シーロでのインテル戦を含む6勝を上げ、順位も望外の6位にまで一時到達。“地味で辛く長い”が定番とされる残留争いにあって、勝っても負けてもスリリングなパルマは異彩を放っている。
とりわけ昨夏に中国・河北華夏幸福から獲得した元ローマのFWジェルビーニョは大当たりで、11月のリーグ月間MVPも受賞。セリエAへ復帰した韋駄天ストライカーの活躍ぶりは目覚ましい。
地元紙のインタビューが奮っている。
「(2016年1月に)中国へ移籍したとき、“ジェルビーニョはもう体力もプレー内容も落ち目の選手さ”と考えた人は多かっただろうな。だが、俺の今季のプレー内容を見ればそれが間違いだったってわかるだろ」
5節カリアリ戦では、自陣からスタートしてマーカー3人を振り切りながら約80mを駆け抜けた末にミサイルのようなシュートを決めて、イタリア全土の度肝を抜いた。
今年5月で32歳になるはずのスプリンターは20節ウディネーゼ戦でも70m近くの大長駆。追いすがるDFがみるみる引き離され転倒するのを尻目に、ゴールエリアへ到達したジェルビーニョは、冷静に枠の中へ放り込む完璧なフィニッシュを見せた。