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パルマ、4季ぶりのセリエAは上々。
年俸総額でロナウド1人に負けても。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2019/03/20 16:30
アーセナルで2シーズン9得点、ローマでは3シーズン17得点。ビッグクラブ、中国でのプレーを経て、円熟期を迎えたジェルビーニョ。
生き証人・ルカレッリの皺。
昨年の晩夏、『選手名鑑』の取材でパルマ郊外の練習場を訪ねた。破産と3季連続昇格を経験した唯一の生き証人、元主将ルカレッリは今、クラブマネージャーとして現場を支えている。
日焼けのせいか引退して筋肉が落ちたせいか、間近に見た元主将の顔に刻まれた皺は驚くほど深かった。
ルカレッリの話は破産当時の怒りや葛藤、イタリア・サッカー界全体への提言、アマリーグから這い上がってきた3年間など多岐に及んだ。
記事では泣く泣く割愛したが、修羅場をくぐり抜けた元主将の言葉はどれもこれも他では聞けないものばかりだった。
話の最後に尋ねてみた。
DFとしてC・ロナウドと対戦してみたくないですか?
イニエスタみたいに日本でやる気はないですか?
「現役を続けていたら、今頃ひどい無様を晒していたかもしれないな。パルマをセリエAに連れ戻すことが俺のミッションだったからそれで燃え尽きた。それから、イニエスタは……俺みたいに41歳のオッサンじゃないだろ(苦笑)」
グラウンドに未練はないよ、と笑った顔は快活そのものだった。フロントの1人になって、鬼監督ダベルサとジェルビーニョのような頼れる選手たちのチームが残留できないはずがない、という信頼にあふれていた。
エンニオ・タルディーニに戻った日常。
春の陽気に溢れる本拠地「エンニオ・タルディーニ」で、パルマの選手たちが、何の憂いなく暴れている。
4年前、選手や職員の給料はおろか、主催試合の電気代さえ払えないほど困窮したクラブが、ユベントスやミランを町に迎え撃つ日常を取り戻した。
残留は近い。来年もセリエAで戦える。
パルマの人たちは、それがたまらなく誇らしい。