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パルマ、4季ぶりのセリエAは上々。
年俸総額でロナウド1人に負けても。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2019/03/20 16:30
アーセナルで2シーズン9得点、ローマでは3シーズン17得点。ビッグクラブ、中国でのプレーを経て、円熟期を迎えたジェルビーニョ。
4部降格も、奇跡の3年連続昇格。
今年も「3月19日」がパルマの町にやってきた。
この日付は、パルマというクラブにとって“命日”に等しい。
4年前のこの日、パルマ地方裁判所が当時のクラブ運営会社に破産宣告を出した。薄ら寒い日だった。
その後、地元の実業家有志が寄り合って、新クラブを興し、4部アマチュアリーグから再出発した彼らは3年連続昇格という前人未到の奇跡を成し遂げた。
その一方で、2017年にクラブは中国資本「デスポルツ・グループ」による買収を受け入れ、新たな一歩を踏み出した。
ずさんな経営陣から取り戻した「パルマ」。
雲行きが怪しくなったのは昨年だ。デスポルツによる運転資金の振り込みが滞り始め、メインバンクへの保証金支払いも無視され、セリエA昇格の喜びの裏で地元実業家たちによる元経営陣は穴埋めのために1000万ユーロを拠出する羽目になった。
過去のずさんな経営を教訓とする元経営陣は、'18年10月にクラブ株譲渡契約の中に記しておいた特記条項に則る形で、過半数株買い戻しオペレーションを発効させ、デスポルツから経営権を取り戻した。
パルマの町は、主に建設業を営む実業家ピッツァロッティ(※4年前のクラブ破産時に重要な役割を担ったパルマ現市長と同姓だが姻戚関係はなし)を新会長に据え、「パルマ・カルチョ1913 有限会社」を再び地元の手に取り戻した。
ところが、今年の2月末になって一連の動きを不服とするデスポルツ側がミラノ商工会議所に、買い戻し無効の訴えを起こしたことが判明した。パルマの経営権は法廷闘争の場に委ねられている。
そして、実は4年前の災厄の決着もまだついていない。
2億ユーロもの巨額負債を作ったとされるギラルディやマネーロンダリング容疑で逮捕されたマネンティといった2人の元会長以下総勢23人も、司法の裁きを待っているところだ。