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長谷部誠の情熱はルーキーのよう。
「35歳になっても持っていたい」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2019/03/19 11:00
ELでベスト8進出を果たしたフランクフルト。長谷部誠はその中心として充実の時を送っている。
その情熱は浦和時代と重なる。
直近のニュルンベルク戦では、先制点を決めたものの追加点が奪えない時間が続いた。時計の針が進むにつれて、インテル戦同様にオープンな展開となり、何度か相手のカウンター攻撃にさらされた。
「勝負を決定づけるゴールがなかなか取れないゲームでは、後ろは我慢しなくちゃいけない。我慢のしどころだと思っています。とにかく後ろから『しっかり仕留めろ』って、怒鳴ってはいますけど(笑)」
チームメイトへ向けて声を張り上げる長谷部。それはもうフランクフルトでお馴染みのシーンとなりつつある。
若いDFがボールを持って迷っていれば、「前へ」と強く主張する。バックパスを出したときには、積極的に行こうという態度を見せた。逆にバランスを崩して攻撃参加しようとするサイドの選手には、「ここまで下がれ」と叱責する。
ゲームが止まるたびにポジション修正を指示し、時には最前線まで走り、レフリーに抗議する。その姿は情熱をぶちまけるようにプレーしていた浦和レッズ時代と重なる。
「勝ちたいという気持ちは、人一倍強い。若い時から変わらず、ピッチの中の情熱は35歳になっても持っていたい。それは自分がサッカーする上で必要な要素。もちろんある程度コントロールしていますけど、今こそ、より失いたくないものだから」
現在までに重ねた時間、経験を持ちながら、気持ちはルーキーのように熱い。35歳の今、長谷部は原点回帰したかのようにフレッシュだ。かつてヤンチャな少年だった男は、そのふてぶてしさすら魅力的な武器となり、輝いている。