スポーツ百珍BACK NUMBER
ゴール裏転落、猫が疾走、停電。
サッカー場は珍事にあふれている。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/03/16 11:00
清水戦で2点目を決めた後、歓喜のアンデルソン・ロペスは看板を飛び越えて……えらいことになった。
W杯予選で飛来した鳥の大群。
<サイドのスペースを飛んで埋めるアレ>
地上だけでなく、空中のスペースを自在に使う動物もいた。それも日本代表戦でだ。
2016年10月11日のロシアW杯アジア最終予選、オーストラリア戦。黒星スタートの日本はアウェーながら負けが許されない状況だった。序盤に原口元気のゴールで幸先よく先制した日本だが、実力伯仲のオーストラリアを相手に緊迫ムードが続いた。
ただ時間が進むごとに存在感を放ったのは……本田圭佑でもケーヒルでもなく鳥だった。
試合会場のメルボルンのドックランズスタジアムは海沿いにある。照明が照る芝生に引きつけられたのか、会場内で鳥の大群が羽ばたき続けた。そして時にはサイドバックの裏のスペースを絶妙に埋めるようなポジショニングも披露した。
固唾をのんで見守っていたファンも、試合展開以上に気になって仕方なかったはずである。
停電ついでにジーコにおねだり。
<ハーフタイムにまさかの暗闇>
日本代表がハプニングに見舞われたのは、鳥だけではない。2004年9月8日に行われたドイツW杯アジア1次予選、日本vs.インドでのこと。アウェーに乗り込んだジーコジャパンは前半終了間際に先制ゴールを奪い、いい形で折り返したのだが、事件はそのハーフタイムに起こった。
スタジアムの照明が電力不足で停電してしまったのだ。
復旧まで時間がかかるとのことで、日本の選手は薄暗い中でリフティングなどで身体をほぐすしかなく、ジーコ監督にいたってはインドの現地スタッフからサインをねだられる場面もあったのだという。W杯予選というのに、牧歌的である。
その時の話を代表メンバーだった、ある選手から「ロッカールームは暗いし暑かったなあ」と聞いた記憶がある。そりゃクーラーも効かないのだから、たまったもんじゃなかったはずだ。