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仙台vs.神戸で心に残った歌の力。
復興も応援もサッカー流でいこう!
text by
川端康生Yasuo Kawabata
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/03/17 08:00
仙台vs.神戸戦ではテノール歌手・秋川雅史さんがゲストで登場。「歌」のパワーを明確に示してくれた。
軽やかなスタンド、“VIP”も魅せた。
実を言えば僕自身、最初の年に「満月の夕」と「カントリーロード」を聞きながら目元を拭った覚えがある。この日も「千の風になって」のバックには、あの日の光景が映し出されていたから、やっぱり沈痛な気分になりかけていたそのとき、「千の風に乗って花粉が……」と秋川さんが笑わせてくれたのだ。
おかげで、心がほどけていくような感覚があった。スタンドの空気も軽やかになった気がした。
だからチームも躍動し……と続けられればいいのだが、後半、仙台は失速。前半は上手に受けて、整理されたカウンターを繰り出せていたのだが、ハーフタイム明けの失点が痛かった。
でも敗れた悔しさは、勝利の喜びと同じくらい、ゲームの醍醐味である。それにV=1点。I=1アシスト。P=0.5点を見れたのだ。サッカーは楽しめた一日になったはずだ。
仙台が宣言した使命。
そんな向き合い方はクラブも同じなのだろう。
トークをはさんだ秋川さんの2曲目、ビジョンには “立ち上がる人々”、そして“歩き出した人々”の姿が映し出された。描かれていたのは、悲しみではなく、「笑顔」と「未来」だった。
1994年、ブランメル仙台としてスタートしてから今年で創立25周年。そんな節に「KIZUNA未来プロジェクト」を始動した。
もちろん震災復興は大きなテーマの1つ。しかし、それも含めたホームタウンの未来。それこそが次の四半世紀に向けてベガルタが果たすべき使命です、と宣言したのだ。
サポーターとともにバックスタンドに描いた「絆」のコレオグラフィ。そこには連帯の力強さがあった。