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もう「ボトラーズ」なんて呼ばせない。
しぶとさを得たスパーズがCL8強入り。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2019/03/12 11:00

もう「ボトラーズ」なんて呼ばせない。しぶとさを得たスパーズがCL8強入り。<Number Web> photograph by Getty Images

怪我も癒え、ここにきて際立った存在感を披露するハリー・ケイン。スパーズの行方は彼の出来次第かもしれない。

終盤80分以降の得点力。

 思えばトッテナムにとって、今季のCLは逆境を「跳ね返す力」が試される舞台だった。グループステージはバルセロナ、インテル、PSVと同居した激戦区のグループB。しかも、最初の3試合で1ポイントしか取れず、決勝トーナメント進出自体が危ぶまれた。

 しかし最終的には2巡目の3試合で奪った、終盤80分以降の計3得点が、精神力の証とも言うべき価値ある得点だった。勝ち点の他、直接対決での得失点差と得点数でもインテルと並び、初戦で奪っていたアウェイゴールが決め手となって、グループ2位通過の運びとなっている。

 そして、得点と言えば今や欧州でも屈指のフィニッシャーと呼べる、ハリー・ケインがいる。25歳のイングランド代表エースが誇る決定力は、ドルトムントにケインがいれば勝敗は逆になっていたと思えるほどだ。

やはり大きかったケインの存在。

 トッテナムを勝利に導いた価値あるゴールは、欧州戦でのクラブ歴代得点王に躍り出る通算24得点目。カウンターからMFムサ・シッソコが送ったスルーパスに、ドンピシャのタイミングで走り込むと右足アウトサイドによるファーストタッチでボールの勢いを殺し、ステップを合わせつつ相手GKの位置を確かめ、ペナルティエリアの縁からニアサイドに放り込んだもの。

 後半早々の48分に訪れた自軍2度目の好機を逃さず、チーム1本目の枠内シュートでベスト8入りを動かぬものとした。

 試合の10日ほど前、左足首の怪我から戦線復帰したばかりのケインが、本調子であるはずはなかった。それでも、ゴール前での仕事ぶりは相変わらず。欠場期間中にはソン・フンミンもドルトムント戦の第1レグの先制点を含めて大健闘したが、やはりケインは別格だった。

 復帰初戦のバーンリー戦からネットを揺らすと、第2レグ直前のアーセナル戦でも自身が奪ったPKを事もなげに決めている。逆に国内の両カップ戦の敗退は、ケイン不在中の出来事である。

 また、CL準々決勝進出と前後して、ケインとの呼吸がいいMFデル・アリが、1月後半に負ったハムストリングの怪我から練習復帰という吉報も届けられた。

【次ページ】 スパーズが手にした「鬼に金棒」。

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