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もう「ボトラーズ」なんて呼ばせない。
しぶとさを得たスパーズがCL8強入り。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2019/03/12 11:00

もう「ボトラーズ」なんて呼ばせない。しぶとさを得たスパーズがCL8強入り。<Number Web> photograph by Getty Images

怪我も癒え、ここにきて際立った存在感を披露するハリー・ケイン。スパーズの行方は彼の出来次第かもしれない。

したたかさを身につけた指揮官。

 迎えた第2レグ。指揮官は得点が必要なドルトムントの攻撃をしのぎ、カウンターで止めを刺す戦い方を選択した。

 採用された3-4-1-2システムは、前半途中の段階で2トップの一角で先発したソン・フンミンと、トップ下のクリスティアン・エリクセンも中盤に下げた5-4-1の陣形を取るようにもなった。言わば「肉を切らせて骨を断つ」姿勢は、本来ポゼッション重視の攻撃志向で、就任当初はひたすら点を取りに行く戦い方を好んだ監督自身が、“したたかさ”を身につけた証拠と言える。

 現在のチームは心身両面で後方の耐久力も十分だ。その事実は、第2レグ3日前のアーセナル戦(1-1)でも明らかだった。

守備陣とエリクセンの奮闘。

 リーグ戦3連敗となれば精神面のダメージも心配された上位対決で、後半ロスタイムにユーゴ・ロリスがピエール・エメリク・オーバメヤンのPKをセーブ。また、ヤン・ベルトンゲンはリバウンド後の流れからアーセナルFWが放ったシュートをゴールライン上でクリアして、土壇場で敗北を喫するシナリオを避けた。

 その北ロンドン・ダービーと同様、ベルトンゲン、ダビンソン・サンチェス、トビー・アルデルバイレルトの3バックは、続くドルトムント戦でも冷静沈着かつ質実剛健な守りを披露。最後尾のロリスは前半だけで5度、マルコ・ロイス、ユリアン・バイグル、マリオ・ゲッツェ、ジェイドン・サンチョ、パコ・アルカセルが得点に迫ったシュートを防ぐ守護神ぶりを見せた。

『デイリー・ミラー』紙などでは、エリクセンが10点満点中6点という平均点止まりの評価をしていたが、特長の創造性を犠牲にしてボール奪取に奔走した献身性を考慮すれば、少なくとも7点は与えたかった。

【次ページ】 終盤80分以降の得点力。

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