プレミアリーグの時間BACK NUMBER
もう「ボトラーズ」なんて呼ばせない。
しぶとさを得たスパーズがCL8強入り。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2019/03/12 11:00
怪我も癒え、ここにきて際立った存在感を披露するハリー・ケイン。スパーズの行方は彼の出来次第かもしれない。
昨季のユベントスを思い出せ!
第1レグでドルトムント相手に3点をリードする優勢の展開であっても、そこは俗称「ボトラーズ」。
メディアも、8年ぶりの準々決勝行きを確実視するのではなく、失敗は許されないというトーンの報道が目立つ。
サポーターも、昨季16強ユベントス戦での経験からナーバスになっていた人々はいただろう。第1レグでアウェイゴール2点を奪って引き分け、ホームでの第2レグでも前半に先制したが、後半の3分間で2点を奪われて8強入りを逃したからだ。
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そのような状況を考慮したポチェッティーノは「経験から学ばなければ」と発言し、改善の必要性を認めていた。そして、その成長の跡が遂にピッチで確認された。
リーグの優勝争いからは脱落も……。
ドルトムントとの2試合に挟まれたプレミアリーグでは、残留争い渦中のバーンリーと、マンU、アーセナルと4位争い中のチェルシーを相手にした2連敗で、58年ぶりのリーグ優勝が非現実的となってはいる。
ただし、第29節終了時点で首位と10ポイント差、2位とは9ポイント差をつけられているものの、前者は過去3年間でペップ・グアルディオラ監督が戦力を揃えたマンチェスター・シティ、後者は4年間でユルゲン・クロップ好みの戦力を増やしてきたリバプールである。
その両軍との優勝争いの中、さらに開場が迫る新スタジアム建設による予算圧迫もあり補強のなかった今季に、『ビッグ6構成員』では唯一開幕7カ月目までトップ2を追走し続けてきた。「またやっちまったな!」ではなく、「よくやったな!」と誉めてもよいぐらいだ。
国内リーグでの奮闘を支え、CL8強入りの要因の1つでもある「しぶとさ」がなければ、ポチェッティーノの要求通りの勝利を実現することは難しかった。