フランス・フットボール通信BACK NUMBER
偉大なる“キング”ペレ、大いに語る。
ネイマールよりムバッペがお好き!?
text by
エリック・フロジオEric Frosio
photograph byDR
posted2019/03/10 10:00
今でも世界中で愛されている“キング”。78歳になった今でも、世界各国でサッカー文化の普及に汗を流している。
「彼をサントスの息子のように思っている」
――ほとんど親子と言えるぐらい近しい関係にありながら、あなたはネイマールを決して弁護しませんし、公衆の面前で躊躇なく批判しています。
「父親は息子を絶対に批判しない。教育するだけだ! 私たちが彼を作りあげたといったのは、彼をサントスの息子のように思っているからだ。私が彼の耳を頻繁に引っ張っていると人々は感じているが、それは彼のためを思うからであって、彼がブラジルや代表にとって最高の存在になって欲しいからだ。彼の成長のためなら私はどんなことでもする。だから心配しないでほしい」
――それでは彼は成熟したと思いますか。失意に終わったワールドカップの後は、よりバランスがとれてきたように見えますが……。
「この2年間はいったい何だったのか? 目立ちたいという気持ちが露わで……。それもゴールや優れたパフォーマンスによってではなくて、シミュレーションやレフリーの目をごまかすことによってだ。その結果、悪いイメージがどんどん膨らんでいった。
そのことは彼と何度も話しあったし、彼の父親も交えて話をした。今はもう彼もわかっている。彼が世界最高の選手のひとりであるのは一点の曇りもない事実であり、唯一最高の選手になって欲しいと心から願っている」
「ネイマールとムバッペを並べたいね」
――フランスはワールドカップに優勝しましたが、消極的なプレースタイルをしばしば批判されています。あなたはどう思いますか?
「世界最高のチームのひとつであり、ワールドカップを獲得したチームのスタイルを誰が批判できるのか?
サポーターにとって大事なのは勝つことだ。サッカーは残念ながらそうなってしまった。内容が酷くて見るべきものが何もなくとも、勝てば認めないわけにはいかない」
――もしもあなたがペレFCの会長ならば、どんな選手を獲得しますか。総額2億ユーロで考えてみてください。
「ひとりの選手だけでは無理だね。ひとつのチームを手に入れるよ(笑)」
――しかしネイマールひとりだけで2億2200万ユーロかかります。
「ああ、そうだったな(笑)。その値段じゃなければ、ネイマールとムバッペの2人を何とかして獲りたい。ふたりとも私のお気に入りだから、私のチームに並べたいね」