フランス・フットボール通信BACK NUMBER
偉大なる“キング”ペレ、大いに語る。
ネイマールよりムバッペがお好き!?
text by
エリック・フロジオEric Frosio
photograph byDR
posted2019/03/10 10:00
今でも世界中で愛されている“キング”。78歳になった今でも、世界各国でサッカー文化の普及に汗を流している。
ペレの後継者はムバッペである。
――今日のパルク・デ・プランスの王子はキリアン・ムバッペですが、あなたは彼を自身の後継者と言いました。
「ああ、だからあなた方が今ここにいるわけだ。すでに昨シーズンから、私は彼を偉大な選手だと称賛していた。2~3シーズン前から、気の早いものたちは彼とネイマールを比較していたし、私もそのころから注目していた。
彼は19歳でワールドカップを獲得したが、私がそれを成し遂げたのはまだ17歳のときだった。ほとんど同等の偉業だと言ったこともあるし、彼が新しいペレになれるとも思っている。多くの人々は冗談だと思ったようだがそれは違う。決してジョークではないことを、これからあなたにお見せしたい。私は彼のファンだし高く評価している。これを見たら驚くんじゃないかな(と、ポケットからスマートフォンを取りだす)」
――ムバッペからメッセージが届いているのですか?
「いや、直接メッセージは貰っていないがこれを見て欲しい(彼が示したのは『もしもムバッペが今のように私の記録を辿り続けたら、私は再びスパイクを履かねばならないだろう』という自身のコメントが添えられた合成写真だった。
そこには『王様はいつになっても王様であり続ける』というムバッペのツイッターのコメントも張り付けられていた)。彼は敬意に満ちたコメントを私に送ってくれた。嬉しかったし心から感謝している。ムバッペよ、本当にありがとう! ただ、私がさらに嬉しく思えるのは、君が再びワールドカップを獲得したときだ(笑)」
ネイマールは嫉妬しませんか?
――これだけムバッペへの親近感を示して、ネイマールが嫉妬を感じるとは思いませんか?
「いや、彼はそんな風には思わない。随分以前から彼を知っているが、ネイマールは私たちサントスが作りあげた。サントスの育成センターにいたときから、私もまた息子のエジーニョ――元サントスのGKで引退後はクラブの育成を担当した――も、彼の成長をサポートしてきた。ネイマールのプロ契約締結を推進したのは息子だった。私も息子も彼のファンだ」
――そうかも知れませんが、練習の際にネイマールが受けたファールに、笛を吹かなかったあなたの息子に彼がもの凄く怒ったのは事実ですよね。
「その通りだが、息子が笛を吹かなかったのは、彼をもっと強くしたかったからだった。ネイマールは今、世界最高選手のひとりになったのだから、息子の行為も決して無駄ではなかったわけだ」