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MotoGP開幕、シーズン徹底検証!
ホンダ、ドゥカティ、中上貴晶は?
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2019/03/08 16:30
開幕直前に撮られたライダー勢揃いの記念写真。左端、MotoGP2年目となる中上貴晶には期待せざるをえない!
今季ホンダはドゥカティを越える!?
そして、最後にチャンピオンチームのホンダだが、今年はマシン開発が順調で、最速と言われてきたドゥカティとの差を大きく縮めた。特に最高速ではドゥカティと肩を並べ、大きな進化を感じさせた。
ホンダのエースで4年連続6回目のチャンピオンを狙うマルク・マルケスは、昨年12月に脱臼癖のついた左肩の手術を行った。開幕戦カタールGPは、依然として完璧な体調では戦えそうもないが、なんとか優勝争いができる状態まで回復したようだ。
当然、ウインターテストでは、100パーセントの走りにはほど遠く、マシンとライダーの体調の仕上がり具合を予想するのはなかなか難しい状態だった。しかし、着実にテストメニューをこなす走りは、今年もチャンピオン候補の筆頭にいることを感じさせた。
なぜなら、デビュー当時からの速さと強さに加え、この数年は、長いシーズンを戦い抜くために「勝てないときは表彰台、完走」という我慢のレースを覚えた。そして、昨年は、どんな状況でも焦らないというワードが加わった。
特に、体調が完全ではない今年のウインターテストは、フラストレーションのたまる走りが続いたが、「リラックスした走りでマシンのパフォーマンスを引き出す」というあらたなライディングにもつながっているように感じた。まさに、転んでもただでは起きない強さを身につけたようだ。
マルケスの4連覇なるか?
現状、最速といわれてきたドゥカティを相手に3年連続タイトルを獲得してきたマルケスだが、今年はホンダの進化が大きな武器になることは間違いない。体調が万全ではないシーズン序盤をしっかり戦い抜けば、4連覇に大きく前進する。
マルケスの最大のライバルでホンダ陣営に加わったホルヘ・ロレンソにも大きな注目が集まっている。
ロレンソもオフのトレーニング中の怪我で左手が万全ではないが、カタールテストでは随所で速さを見せた。ヤマハ、ドゥカティ時代のロレンソを見てきたホンダは、ロレンソのパフォーマンスを引き出す術を早くも掴んでいるようで、それがうまく行けば、まさにマルケスと最強チーム誕生となりそうだ。