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シティとリバプールのマッチレース。
選手層や経験値から優勝に近いのは?
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2019/03/09 10:00
怪我人を抱えるシティ、下降線をたどるリバプール。最後に笑うのはペップか、クロップか。
気になるサラーの停滞。
リバプールは下降線を描いている。開幕から16勝3分無敗と飛ばしてきたが、第20節以降は5勝4分1敗とトーンダウン。直近5試合のプレミアリーグも2勝3分。ワトフォードを5-0で叩きのめしたものの、ユナイテッドとエバートンにはゴールレスドローに終わった。頼みのモハメド・サラーも第26節のボーンマス戦でゴールを決めた後、3試合無得点。昨シーズンほどのキレ味は感じられない。
激しいトランジションが必要とされるスタイルが、主力の疲労を招いている。こうした場合は控えの力でサポートしなければならない。ただ、ディボク・オリジとジェルダン・シャキリ、ダニエル・スタリッジは継続性に乏しく、サラー、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネの3選手を脅かすどころか、彼らの負担を軽減するまでにも至っていない。マージーサイド・ダービー終盤、シャキリやスタリッジの投入をためらったクロップ監督の用兵を消極的と批判する声も聞こえてくるが、信頼度の違いが現われたやむを得ない人選だった。数は足りているが質が不足している、ということだ。
勝ち切れないリバプールを尻目に……。
また、前述したエバートン戦とユナイテッド戦、さらにウェストハム戦、レスター戦と、引き分けの増加は気になるところだ。2015-16シーズンのレスターが12分けで優勝し、前シーズンのチェルシーも9分けで玉座を賜ったとはいえ、特殊なケースといわざるを得ない。レスターとチェルシーを除く直近5シーズン、優勝したクラブの引き分け数は平均4。昨年の覇者シティも4つしか引き分けていない。第29節終了時点で、リバプールは7試合に引き分けている。多すぎはしないだろうか。
勝ち切れなくなってきたライバルを尻目に、シティは第20節以降を9勝1敗のハイペースで乗り切り、第29節終了時点で引き分けはわずか2試合。大詰めを迎えつつある段階で、前年の覇者がいよいよ加速してきた。