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シティとリバプールのマッチレース。
選手層や経験値から優勝に近いのは? 

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粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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photograph byGetty Images

posted2019/03/09 10:00

シティとリバプールのマッチレース。選手層や経験値から優勝に近いのは?<Number Web> photograph by Getty Images

怪我人を抱えるシティ、下降線をたどるリバプール。最後に笑うのはペップか、クロップか。

“クアドルプル”達成のまたとないチャンス。

 ただ、四冠はユナイテッドを上回る偉業だ。1998-99シーズン、ユナイテッドが達成したCL、プレミアリーグ、FAカップのトレブル(三冠)は、20年が経過したいまでも語り草だ。近年の成績で地元のライバルを凌駕しているシティだが、歴史と伝統では太刀打ちできない。

 しかも、ユナイテッドが最も意識しているライバルはリバプールだ。二番手は同じノースウェスト地区のリーズかもしれない。シティにとっては許しがたいプライオリティだ。この、不快な感情を一掃するにはやはり四冠が必要だ。

「ユナイテッドはいくつ獲ったって? 俺たちは四冠だぜ」と優越感に浸りたい。ユナイテッドとの立ち位置は、グアルディオラ監督も承知しているだろう。「難しすぎる」とは語っているものの、四冠は現在の力関係を分からせるためにも必要であり、今シーズンはまたとないチャンスである。

 したがって、FAカップにも主力を投入する可能性が高い。国内のカップ戦で早々に敗れているリバプールは、プレミアリーグとCLに集中できる。スケジュールでは、ユルゲン・クロップ監督のチームが若干有利だ。

負傷組が復帰するリバプール。

 厳しいスケジュールをやり繰りするには豊富な選手層が必要だ。しかしシティは、ケビン・デブライネとバンジャマン・メンディが負傷を繰り返している。ダビド・シルバ、ベルナルド・シウバ、イルカイ・ギュンドガン、フェルナンジーニョの奮戦により、デブライネ不在の中盤は体を成してきたが、左サイドバックはウィークポイントだ。オレクサンドル・ジンチェンコ、ファビアン・デルフ、ダニーロ、さらに本来はCBのアイメリック・ラポルテなども起用したものの、メンディを上回るインパクトを残せていない。グアルディオラ監督も、「左サイドバックは今夏の補強ポイント」と語っていた。

 対するリバプールは、負傷で戦列を離れていたジョー・ゴメスとデヤン・ロブレンが3月下旬には復帰する。昨シーズンの終盤に膝を痛めて長期の欠場を余儀なくされたアレックス・オクスレイド・チェンバレンも、4月初旬には帰ってくる予定だ。また、ファビーニョが最終ラインでも通用することを証明し、いざとなったらジェイムズ・ミルナーがGK以外のポジションをこなす。選手層ではリバプールにアドバンテージがあるように映っていたのだが……。

【次ページ】 気になるサラーの停滞。

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