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小平奈緒、世界新へのおまじない。
てるてる坊主を逆さに吊るす理由。
posted2019/03/03 11:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
AFLO
ブレない。傾くこともない。世界スプリント選手権優勝というビッグタイトルが示したのは、世界一の実力だけではなかった。究極の滑りを追い求める女王の自尊心をあらためて知らしめる2日間だった。
2月23、24日にオランダ・ヘーレンフェーンで開催されたスピードスケートの世界スプリント選手権で、平昌五輪女子500m金メダルの小平奈緒(相澤病院)が2年ぶり2度目の総合優勝を果たした。
2日間で500mと1000mを2度ずつ滑って4レースの総合成績で争う世界スプリント選手権は、真の短距離王・女王を決める大会として、オリンピックと同等以上とも言われる高い権威を誇ってきた。
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小平は500mの2レースでいずれも1位になった。最後の1000mは同走の高木美帆に敗れて3位だったが、1分14秒96の好タイム。自分自身の物差しを持つ選手らしく、順位に関わらないガッツポーズを見せたという。中長距離スケーターでありながら大健闘で2位になった高木美帆(日体大助手)と2人で日本勢ワンツーを果たす快挙だった。
オランダでの優勝は宝物。
「2度目の世界スプリント選手権総合優勝は本当に嬉しい。第二の故郷であるオランダでチャンピオンになることができたのは、自分のスケート人生の宝物。スケートが盛んな国、スケートが文化である場所で、たくさんのファンに優勝を見ていていただけた。夢の中にいるようで、忘れられない出来事になった」
一時帰国した2月26日に都内で報道陣の取材に応じた小平は、長距離移動の疲れを柔らかな笑みで覆いながら、喜びを語った。
メンタルが試されるシチュエーションを乗り越えた。世界スプリント選手権の2週間前、2月8日にドイツ・インツェルで行なわれた世界距離別選手権女子500mで小平は2位となり、この種目の国内外での連勝が37で止まった。優勝は23歳のバネッサ・ヘルツォーク(オーストリア)で、タイムは小平より100分の8秒速い37秒12だった。