オリックスで見た新人ショート2人の光。

　オリックスの宮崎・清武キャンプ。

　ソフトバンクのキャンプ地「生目の森運動公園」と同じように、広大な敷地に一、二軍全選手が分かれて練習を行う。

　キャンプはこれがいい。キャンプ途中で二軍に異動になっても、一軍はすぐ隣のグラウンドだ。ちっとも遠くない。

　若い選手たちが使うサブグラウンドの内野ノック。ショートのポジションを2人の高校生ルーキーが守る。

　太田椋と宜保翔（ぎぼ・しょう）。天理高から入ったドラ1と、未来沖縄高からやって来たドラフト5位。 

　難病をかかえながら奮闘する遊撃手・安達了一の“後継作り”が急務だったオリックスは、昨秋のドラフトで4球団が重複した報徳学園高・小園海斗遊撃手（→広島1位）の抽選を逸し、「天理高・太田諒」で勝負をかけた。

　お父さんが球団のスタッフに在籍しているから……そんな理由付けをされがちだが、それは「たまたま」の偶然。掛け値なしで太田の実力を「いける！」と判断したからだ。

「宮本武蔵と孫悟空やな！」

　正面、二遊間、三遊間……ノックの球勢は、相手が高校生ルーキーなのを気遣ってか、それほど痛烈じゃないが、さすが「ドラ1太田椋」、そのフィールディングはすでに4年、5年、プロのショートをこなしているかのような安定感だ。  

　スタートのタイミング、捕球時の打球との距離感、とりわけ膝と足首を柔らかく使って終始頭の高さの変わらない低い姿勢。動きのリズムがもう“プロ”だ。

　その太田に、宜保がちっとも負けてない。

　動きは対照的だ。打球に対して自由になれる。本能のままに勝手に動いて、スピードで圧倒して一塁に刺す。

　タイミングが合わないとあっさりファンブルもあるが、スナップスローの強烈さには目をむいた。

　捕球直前にギューンと伸びたボールが、ファーストミットをぐいと押し返し、捕った一塁手が、

「なんじゃ、このボールは！」

と痛そうに叫ぶ。

　そのきゃしゃな体で、なんでこのボールが投げられるんだ……典型的な沖縄系超身体能力。菊池涼介が広島に入ってきた頃を思い出す。

「宮本武蔵と孫悟空やな！」

　見ていたコーチが上手いこと言った。

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