サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
権田修一が9年間待ち続けた感覚。
「代表の重みをこんなに感じるとは」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/01/28 11:40
ベトナム戦の出場時点で権田修一は国際Aマッチ9キャップ。そのうち4試合が今大会だ。
招集はされても出場機会が増えない。
'10年の南アフリカW杯後のアルベルト・ザッケローニ体制では、チーム結成当初から招集された。'11年のアジアカップでフル代表では初めての国際大会を経験するが、国際Aマッチ出場は増えていかない。'12年のロンドン五輪でU-23日本代表の守護神として4強入りを後押しするも、日本代表での序列は川島永嗣、西川周作に次ぐ3番手だった。ザッケローニ体制の終了とともに、代表の常連でもなくなっていく。
森保一監督が統べる現在の日本代表では、29歳という年齢から判断すればチームを引っ張っていく立場になるだろう。しかし、権田自身は「ついていくのに精いっぱいと言ったら大げさかもしれないですけど、現時点での全力を尽くすことを考えています」と話す。
「僕はこの年齢ですけど、代表戦をいままでほとんど経験したことがないし、五輪は経験しましたけどワールドカップのゲームは経験していない、というぐらいの選手です。サウジアラビア戦のスタメンを見ていてパッと気づいたんですが、僕以外は全員が海外でプレーしている選手でした。彼ら海外組の気持ちの強さや勝負どころでの集中力というものを、代表で一緒にいるといつも感じさせられる。
日本代表が世界で勝つための経験値で言ったら、自分はホントにまだまだです。今大会で成長できるチャンスをもらっているので、1試合もムダにせずにやっていきたいと思います」
洗練されていく優先事項。
スタメンに名を連ねて勝利を重ねていくことで、自らのプレーが整理されてきた。サガン鳥栖ではなく日本代表のGKとしての優先事項が、明確になってきている。
「自分のなかで『ここはもっと大事にしなきゃいけない』とか、『ここはちょっと切り捨てたほうがいいかな』とか、そういうのがどんどん、ホントに洗練されていく感覚があります。
いままでは『これも、これもして、これもまあちょっとやっておいたほうがいいかな』みたいなところがありましたけど、いまは一番大事なのはここなんだ、このチームではここなんだというのが、ホントに洗練されてきている。研ぎ澄まされてきている」