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権田修一が9年間待ち続けた感覚。
「代表の重みをこんなに感じるとは」 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2019/01/28 11:40

権田修一が9年間待ち続けた感覚。「代表の重みをこんなに感じるとは」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

ベトナム戦の出場時点で権田修一は国際Aマッチ9キャップ。そのうち4試合が今大会だ。

29歳、キャリア最高の時期がやってくる。

 準々決勝のベトナム戦では、前半にミスを招いた。自陣ゴール前で吉田麻也につないだパスが相手のチェイシングに遭い、至近距離から決定的なシュートを許してしまった。

「あれはもう、僕の欲が出てしまったというか。あの時間はちょっとチームとして厳しくて、できるだけマイボールにしたい意識があったんです。吉田選手がパッと見えて、相手もいましたけどポンポンと外せるかなと考えた。流れを持っていきたいための判断でしたが、そこはよりデリケートにやらなければいけない。

 つなぐところはつなぐ、切るところは切るの判断をキッチリしないと、相手のレベルがさらに上がっていったら1本で仕留められて終わりかねない。このチームが目ざしている自分たちでつないでいくことを意識しながらも、失点をしないための逆算からプレーするポジションなので、チャレンジするならその精度にもっとこだわらなければいけない」

 試合前にベンチではなくピッチで国歌を聞くことで、権田は数多くの気づきを得ている。気負いのないスタンスのすぐそばでは、責任感が日に日に逞しくなっていった。

「アジアカップでこうやって試合に出続けることで、代表チームを背負う、代表のエンブレムを着けて戦う重みを、こんなにも感じるものなんだなというのは正直に思いました。五輪も背負うものはありましたけど、やっぱり違うなと。それがプレッシャーになっているわけではなく、僕のなかではうまく消化してやれているのかな、とは思います。

 僕はもう29歳ですけれど、この大会はここから先のサッカー人生にすごいプラスになっていくと思うし、どういう試合でも勝たなければいけないのが日本代表に課せられた使命です」

サッカーはGKが止めれば勝つゲーム。

 だから、と権田は続ける。

「日本代表のゴールを守っている以上、どういう状況でも点を取られちゃいけない。GKがあの1本を止めたから勝つ、止められなかったから負けるというのは、アジアカップでもJリーグのルヴァンカップでも天皇杯でも、ワールドカップでも同じでしょう。

 どのレベルの大会でも優勝するためにGKは大事なポジションで、今回こうやって毎試合成長させてもらっているのと同時に、もっと僕自身がチームを助けられるようにならなきゃいけないし、もっとチームを引っ張れるようにならなきゃいけないなというのは、すごく感じさせられています」

 タッチラインをまたいだ先に広がる景色は、想像していたものよりもさらに刺激的だった。9年越しでつかんだ正GKとしての日々は、権田にとって'22年のカタールへの指針となっていくに違いない。

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