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白銀の青森山田からアビスパ加入。
大型CB三國ケネディエブスの6年間。
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph byAFLO
posted2019/01/23 11:30
日本で身長190cm台のセンターバックは希少な存在だ。三國ケネディエブスはその恵まれた体格を生かしてJリーグの舞台に挑む。
粗削りだからこその可能性。
指揮官は三國の覚悟を試していたのか、すでに感じ取っていたのか。
三國は自分自身と向き合って出した答えを信じて、その可能性に懸けた。
本格的なコンバート後、特に、セレッソ大阪にDFとして在籍した経験を持つ千葉貴仁コーチからの徹底的な指導を受けて成長を遂げた。夏場にはプリンスリーグの強豪との戦いで実戦経験を積み、「少しずつ形になっていきました」。10月には、センターバックでサッカー人生を懸けて勝負する覚悟を固めた。
つまり、三國はセンターバックとして本格的にプレーして、まだ2年しか経っていない。もちろん、まだまだ粗削り。特にFWとの駆け引きや最終ライン全体をコントロールする術は、お世辞にも「高い」とは言えない。本人も重々承知している。
久保建英らのプレーで揉まれて。
それでも2018年には高体連から唯一、インドネシアで開催されたU-19アジア選手権に臨むU-19日本代表に選ばれた。その舞台で、タイ、サウジアラビアとの2試合に先発して(3試合出場)、U-20W杯出場権の獲得に貢献した。
U-19日本代表は、ほぼ全員がプロ、あるいはJリーグのトップチームですでに練習している選手。宮代大聖(川崎フロンターレ)、年下の久保建英(FC東京)や斉藤光毅(横浜FC)もプロのトップで揉まれていた。プレーのクオリティと意識の高さに圧倒され、そのインドネシアでの日々はさらなる成長への糧となった。
三國は振り返る。
「周りがほとんどプロの選手の中で初めてプレーして、レベルとクオリティが一気にぐっと上がり、そこで自分は足りないものだらけだと気付かされました。そういった面では、非常に大きな経験になりました」
大会中には日本代表の影山雅永監督から「むしろ自分が中心になるぐらいの気持ちでやってみろ!」とゲキを受けた。冷静さを常に失わないが、やや控えめ(に思われる)な性格もあり、指揮官はポジションなど様々なものを“掴み取る”強い気持ちを求めた。